街の平和を守る。 ページ21
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大騒ぎから一夜明け、本格的に練習が始まった。
と、思いきや、ロードワークの開始早々日向がいなくなってまたもや大騒ぎ。
バレー部総出で探すことになった。
田中さんの提案で三チームに分かれ、日向を見つけたらご褒美が出るというルールのもと女バレ一年チームで街に繰り出す。
「日向、おっちょこちょいだなあ！」
「なーんかテンション上がるわー！」
「……この二人も手綱つけといたほうがいいと思うんだけど」
「否定はしないよ」
そうして日向を探しながら暫く街を適当にぶらぶらしていると、花那がちょいちょい、とジャージの袖を引いてきた。
「ねえ、あの人怪しくない？」
花那が指さした先には、携帯ゲームをしながら歩く男子小学生と、その後ろをついて歩く真っ赤なジャージの青年。
トサカのような髪型が目立っている。
「ちょっとついて行こ」
「え、ほっとこうよ」
「いいじゃん、不審者かもしれないでしょ」
「不審者かもしれないからだよ」
我ら烏野防衛隊！と小学生の後ろをついて行く青年の後ろをついて行く二人の後ろをついて行く。
「あのジャージ、ネコマって書いてあるけど」
「え、男バレが最終日試合するって言ってたトコじゃん。ついて行く必要なくない？」
「……ねえやっぱり帰ろうよ」
面倒ごとは嫌だ、とちひろは訴えるが、前の二人にはそんなこと聞こえちゃいない。
すると、小学生が立ち止まったらしく、ネコマの青年も立ち止まる。
小学生がゲームセンターの前にしゃがみ込むのに、青年は少し離れたガードレールにもたれかかる。
四人で急いで傍にあったカフェのメニューの方を向いた。
「……どうするよ」
「ここまで来たらついてくしかないっしょ」
「私はそうは思わない」
今後についての相談をしていると、青年に動きがあった。
青年はジャージの上着を脱ぐと、商店街を抜けて信号を渡った。
「どこ行くんだろ。向こう何もないと思うんだけど」
「だから帰ろうって……」
「いや、なんか匂う」
「犬か」
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作者名：にはろ | 作成日時：2020年3月5日 18時
