恋人はあなた。-９-

6 北山side ページ6

｢あ"〜もうホント最悪‼‼｣









…さっきからもう5、6回このセリフ聞いてんな。









｢マッキー…もう今日はその辺にしとけって。明日も仕事だぞ？｣



｢飲まなきゃやってられませんよ‼２年以上付き合ってきて、こんなのってあります！？｣









数時間前、マッキーが彼氏にフラれた。

しかも原因は、浮気相手を妊娠させた挙げ句、そのままその女と結婚する…という、なかなかエグいものだった。

男は、今日その彼女も一緒に連れてきたようで、二人は終始マッキーに平謝りで、怒りを通り越してしばらく放心状態だったマッキーは、去り際に二人に水をぶっかけて帰って来たらしい。



マッキーがかなり荒れて電話を掛けて来たので、心配になった俺はこの店に駆け付けた。









｢まあさ、そんなサイテー男と結婚しなくて済んで良かったじゃん。のし付けて捨ててやれ｣



｢う"〜…まあそうですけど…。それにしても、ほんっとに腹立つー！｣



｢マッキーにはさぁ、もっと相応しい相手が居るって〜。次、次！｣



｢はぁ〜…。そうですよね、切り替えないとダメですよね…｣



｢そーそー！ってことで、今日はもう帰るぞ〜タクシーで送ってやるから｣









マッキーを家まで送り届けて、自分の部屋に帰って来た頃には、もう日付が変わっていた。



帰りのタクシーの中でAに電話したけど、出なかった。




風呂から上がって確認しても、折り返しの着信は無かった。



…もう寝たかな。









＞＞もう寝てる？電話遅くなってゴメン。
また明日、電話するから。おやすみ。






俺はAにLINEを送り、ため息をついた。









さっきマッキーには言わなかったけど…


俺の予想では、たぶん男の中ではすでにその浮気相手が本命になってたんだと思う。

実際マッキーは、最近彼氏がかまってくれないんですよね〜とか言ってたし。

マッキーは本気っぽかったし、マジで結婚考えてたみたいだから、ショックは半端ねえだろうけど…

どっちにしろ運命の相手じゃなかったってことだな。









運命…か。









俺の運命の相手は、Aだって信じてる。



今までも、これからも、Aの隣に居たい。








Aはどう思ってる？



俺を運命の相手だと思ってくれてる？



俺の隣にずっと居てくれる？









…今、誰のこと考えてる？

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