恋人はあなた。-９-

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二階堂くんはわざわざ送ってくれて、別れ際に、｢ミツさんが帰ってきたら、またダブルデートで遊びに行きましょうよ！｣と明るく言ってくれた。




そういえば、付き合う前に四人で遊園地行ったりしたな〜。

確かあの時ぐらいから、二階堂くんが葵のこと好きなのが分かったんだっけ。





そんなことを思い出していると、電話が鳴った。


表示された名前を見ながら、何となく深呼吸をしてから画面に触れた。









｢…もしもし？｣



｢もしもし？お疲れ。もう帰ってる？｣



｢うん、さっき帰ったとこ。みっくんは？｣



｢俺も今帰ってきた｣



｢そっか。おかえり｣





数日ぶりに電話越しに聞く声が、すごく懐かしいような気がした。






｢おととい電話くれただろ？ゴメンな、折り返せなくて。昨日もちょっと遅くなって、あんな時間になっちゃってさ…｣



｢うん…｣



｢何か…話あるんだよな？ゴメン、昨日ニカにちらっと聞いた。Aから、話聞かせて？｣




みっくんは、いつもより優しい口調だった。







ひったくりに遭って怪我をしたこと、

その犯人が高校生で昨日捕まったこと、

みんなが心配してくれて、藤ヶ谷くんや玉森くんが仕事終わりに送ってくれたこと、

さっきまで二階堂くんと一緒だったこと。




私は一通りのことを話した。


みっくんは、ひったくりに怒りながら私の話を聞いていた。






｢ごめんなさい、黙ってて。でも、やっぱり心配かけたくなくて…｣



｢分かってるよ。気遣ってくれたんだろ？俺が仕事忙しいとか、しんどいとかグチってたから｣



｢…言おうかどうしようか迷ってた。
前のストーカー男の時も黙っててケンカになっちゃったし、それ考えたら言った方がいいとは思ったんだけど…｣



｢うん…いいって。犯人は許せねえけど、Aが無事で良かったよ。怪我も大したことなかったみたいだし｣



｢うん、もう治ったから大丈夫｣







…嘘。

ホントはそんなに大丈夫じゃない。




でも、それが口に出せないのは何でだろう？




もし私が今、"会いたい"って言ったら、みっくんは何て言う？








｢みっくん…｣



｢ん？｣



｢今月も…帰ってこれそうにない？｣



｢そうなんだよな〜なかなかタイミングなくてさ。でも俺、いい加減A不足過ぎてどうにかなりそうだから、帰りたいわ〜笑｣



｢フフっ、何それ。笑｣







するとみっくんは、｢…ゴメンな｣と呟いた。

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