恋人はあなた。-９-

11 藤ヶ谷side ページ11

今朝、藤澤から、ひったくり犯が捕まったという連絡が来た。


俺は今日、朝から施設の方に行ってて直接会えなかったけど、捕まったと聞いてホッとした。

それにしても、高校生って…

よっぽど暇な奴らのバカな遊びに巻き込まれたってことか。マジでいい迷惑だよな。



まあでも、藤澤もひと安心だろう。




フラれてからも、俺と藤澤の関係は変わらずにいた。

実際、あれから時間が合えば何度か家まで送ったりしていた。


これからも友達として付き合っていく上で、今変に距離を置いても意味が無いと思ったし、そのうち訪れるであろう、"本当の運命の相手"と出会う日までは、藤澤への気持ちを無理に忘れようとするのはやめた。









俺は役所に戻り、諸々の雑務を終えて福祉課を出た。

そしてちょうど降りてきたエレベーターに乗り込もうとしたら、玉森くんが乗っていた。





｢あ、お疲れ様｣



｢お疲れ様です〜｣



｢残業？今って会計課忙しいんだよね？｣



｢そーなんですよね〜、昨日はもっと遅くて。でもだいぶ落ち着いて来ました｣



｢そっか、良かったな｣




二人でエレベーターを降りる。




｢あの…藤ヶ谷さん。今からもう帰るんですか？｣



｢うん。何で？｣



｢良かったらメシでもどうですか？俺めっちゃ腹減ってて〜｣









俺は玉森くんからの誘いに乗って、二人で駅近くの居酒屋に入った。








｢玉森くんと二人で飲むのって、初めてだよね？｣



｢そーですね。いつも宮田とか藤澤さん居たし｣



｢藤澤といえばさ、犯人捕まったって言ってたね｣



｢そーそー！良かったですよね〜。なんか犯人捕まらないままだと気持ち悪いですし。てか、高校生ってのがビックリっていうか、あり得ないですよね｣






そうやって、しばらく何気ない会話をしていると、玉森くんがふいに黙った。




｢……｣



｢どうかした？｣



｢藤ヶ谷さん…｣



｢ん？｣



｢俺、藤澤さんに告白しようと思ってるんです。…どう思います？｣



｢え？どうって…｣



何で俺に聞くんだろう？

てか、玉森くんって確か前にも告白したんじゃなかったっけ…





俺が答えに困っていると、｢俺…｣と、玉森くんが話し始めた。

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