心の中は明るく 顔は暗く【梵天】

俺の名前を呼んで ページ20

Aside


万『まだ 死にたい？』

マイキーは 窓から見える夜景を見ながら

私に静かに問う

A「うん



でも

前よりはましかな みんなと少し仲良くなれた気がするから」

それを聞いたマイキーは 少し嬉しそうな悲しそうな
複雑な顔を一瞬見せて

元の無表情に戻った


万『そっか




今日 夢を見たんだ みんながいて


俺だけを置いていく夢


お前も 俺を置いて行ってしまう』


少し震える 私とそう変わらない大きさの体を

私は冷たい指先で 抱き寄せた



A「ここにいるよ


私はどこにも行かない

マイキーの もの でしょ」


私の友達で 総長で 首領

ずっと一緒だったんだから


万『お前 それどんな意味で言ってんのか わかってんの』


ふいにマイキーは私をベッドに押し倒した


万『こういうことの続き

されるかもしんないんだよ

のこのこと男の部屋に来て

それとも
Aには それがあいさつ代わりなの

どんなやつにもいってんの？』



ああ 伝わってなかったのか



A「あなたにしか言わないよ



だってあなたは

私の幼馴染で 友達で 総長で 首領で

私が守りたかった人の一人だから

今までもこれからも ずっと一緒


違う？」



これは恋とは違うし 主従関係とも違う

友情とも呼べなければ 愛だとも呼べない


しいて言うなら



絆 だろう

歪んでしまった 鎖のような絆




マイキーは 一瞬目を見開くと ふっと表情を緩め

私にもたれかかる


万『…そうだな』


肩が濡れているような気がするのは

目をつぶってあげよう


無敵のマイキーの陰に隠れてしまった


佐野万次郎という男


万『ねえ A


俺の名前を呼んで』



東卍を愛し 仲間を愛し

一人で抱え込んでしまった

誰よりも優しい人



その存在を 名前を呼ぶことで確かめる

彼の後頭部をそっとなでる



A「万次郎。


大丈夫。」


私をつかむ手に 少し力が入った

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