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 「痛いって言ってんじゃんか!」

 「ハァ…何で飛びかかったりしたんだい?」

 「だってあの女ともう一人いたやつが…」

 「別にお前さんに危害を加えた訳じゃないだろう?」


私と話していて隙がうまれてしまった彼女へ向かって飛びかかった犬神さま。彼女との間へ割って入るもその勢いは止まることなく。結果神主さんが犬神さまに拳骨を落としてようやく止まった。


 「あいつはどこ行ったんだよ」

 『…』

 「おいてめぇ『私のなかです』


私は震える声で犬神さまの声に被せるように言う。きっと秘密を分かられ、犬神さまに怪我をさせた今ここにいてもしょうがないだろう。


 『神主さま、犬神さま今まで置いてくださってありがとうございました。怪我も治りましたし、村へ帰ることにします』


そう言って二人の返答も反応もされる前に立ち上がり、外へと向かう。


 「闇夜ちゃん!村に帰ってどうするの」

 『処刑されに?』

 「ま、待ってくださいっ!」

 「桜花!」


神社へと一礼をし、一歩踏み出すと陽葵さんや狛犬の兄妹である桜河、桜花の二人がやってきた。


 「いなり寿司美味しかったです…そのでも…」

 「そうだよ!桜花があんなに美味しいって笑顔で食べるの珍しかったから…ここにいればいいじゃん」

 「そうだよ一緒にまたご飯食べよ、ね?」


そう3人が言ってくれるも、私は彼女とは切っても切れない関係であって余計迷惑をかけることは分かっていた。


 <どうする?ここの奴と暮らす?まぁわたしゃどっちでもいいけどな>

 「ひぃ…」


やっぱり彼女は怖いのだろう。急に出てきて声を出したから。完全にさっきまでツンデレ気味な感じから得たいの知れない彼女から妹を守るお兄ちゃんの姿になった


 <いやぁ〜怖がらせてごめんねぇ。ほんとにねぇあの犬神っていうやつが怒ってきたからさ〜>


 「朝日お兄ちゃんが?」

 「まぁ朝日にぃは結構短気だからな!」

 <お!分かってんねぇ〜二人とも!>


子供の扱いには何故か慣れてる彼女はほんの数秒で二人と仲良くなっていて、結果その日は夜も更けてきたので村へ帰るのは延期となった。


 「さっきの方はおまえさんの中に?」

 『はい』

 「嘘にきまってんだろ!」

 <うるさいねぇ犬っころ>

 「こいつ!」

 「お稲荷さん美味しい〜」

 「お兄ちゃんの分も食べな?」

 「桜河くんも食べないと」


その日はとても賑やかで楽しい夕御飯だった。

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作者名:蓮井さん | 作成日時:2022年2月10日 0時

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