couple box (ページ34)

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…ここまでが、俺が失っていた記憶の全て。

たぶんジョニーから好きだって言われたことで俺の記憶の蓋が開いたんやろな。

そっか、俺はジョニーのことがずっと、ずうっーと好きやったんやな。

まぁ、確かに格好いいし優しいもんなぁ

…でも、アカンねん。
だって、今の俺の恋人はアーセナルやねん。
記憶を失う前はジョニーのことが好きやったみたいやけど、今の俺が好きなんはアーセナルやから。

でも、人間って不思議なもんで、ジョニーのことを好きだったと自覚すれば好きな気がしてしまう。

まるで俺の中に2人の人間が存在してるみたい

今の俺と、昔の俺、どっちが本当の僕…？

頭の中がグルグルして、思考を止めたくなってしまう。
でもアカン。2人の気持ちをしっかり受け止めることが俺の義務や。
きちんと気持ちに答えないと…
でも、やっぱり考えれば考えるほど、頭が重く…おもーく、なって…

オレは、意識を失った。

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気づくと、白い天井。

ここ、どこ…？

「あ、気づいた？」

「ん…二宮せんせ…？ここ…」

「俺の家。あと先生ってゆーの止めて。俺先生じゃないから。」

「ご、ごめんなさい…
で、えっと…僕なんで…？」

「覚えてない？公園で倒れてたんだよ。」

「あ…そーやったわ」

「もしかして、記憶、戻った？」

「はい…ほんとに全部思い出したのかは分からないですけど。でも、大事なことは思い出しました」

「そっか、良かったじゃん。
…って、ちょっと、うるさいなー。まだ診察中だから入って来ないでよ」

「っヤス！大丈夫か！？」

「倒れたん？大丈夫！？どこも痛ない？？」

ドアの向こうからジャッキーとガムがなだれ込んで来た。
その後ろではマックがホッとした顔をしてる。

そして…
「ヤス、ごめんな。俺が公園に置き去りにするから…」

「ジョニーのせいとちゃうから、安心して？」

ジョニーはさっきまで泣いてたんかな？ってくらい目を赤くしてる。
最初、ジョニーは感情を表に出すイメージでは無かったけど、案外涙脆く、情に熱いってことは最近知れた。

そしてまた1人。

「ヤス…ほんま、良かったわ…」

「アーセナル…心配かけてごめんな？」

「ん…お前が無事ならええわ。

ところでヤス。
お前記憶戻ったん？」

俺の現在の恋人から発せられた一言で、場の空気が一変した。