検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:19,251 hit

126*森山side ページ38

監督に咲夜ちゃんが呼ばれてから数日後。
朝のHRが始まっても咲夜ちゃんは来なかった。

先生は”風邪だ”と話していたが、昨日はそんな様子はなかったし、
そんなことがありえるのだろうかと疑問に思う。

最近の咲夜ちゃんは何時もと同じようで違っていた。
普段つけないネックレスを始終付けていて、授業が終わればさっさと帰ってしまう。
かといって、最初の頃の咲夜ちゃんに戻ったのかと言われればそれは違うと感じた。
何かから避けるようにいるのではなく、今回の咲夜ちゃんはいつもどこか楽しそうだった。

席へと座るが、男友達と話していても、視界に入るのは誰もいない隣の席。

瞳『・・・・。本当に心の底からバスケが好きなんだね。
昔の、私のお父さん達と一緒。』

俺が風邪を引いて、咲夜ちゃんがお見舞いに来た日。
そう言いながら、彼女の手を包み込んだ俺の手をただ眺めていた。

夕食の時に泣いたせいか、その目は若干赤い。
群青かかったその瞳も伏せられて見えなかった。

何も話さずただ手に触れるだけの時間。
洗い物をしていたせいか冷たかったその手が、俺の手の熱のせいか、
冷たさが失われていく。

今、彼女は何を考えているのだろうか。
亡くなった母親を思っているのだろうか。
幼い兄妹のことを思っているのだろうか。
バスケが好きだった父親を思っているのだろうか。

失ってしまった日々を想っているのだろうか。

俺にはわからない。
普通の家族に生まれて、バスケで青春をして。
彼女を好きだというただの同級生。彼女と重なるところなんて何一つない。

好きだと、好意をよせてると、ただ言うだけで、
彼女の役に立っているかかといえば、どうだろうって感じだ。

そっとあの日触れていたその手を触る。
あの時間は何だったのかというぐらいに、俺らの距離は変わっていない。
俺の熱が見せた幻覚かと思えるぐらいには何も、何も変わらない。

森山「・・・はぁ。」
小さく溜息をつけば、俺は昼前の最後の授業を受けるのだった。

127*今年最後の更新!→←125*武内監督side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
104人がお気に入り
設定タグ:黒バス , 森山由孝   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花蓮(プロフ) - shinox2さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!更新は遅いのですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!! (2018年4月2日 23時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - カタミさん» ありがとうございます!これで良いのかなと思いながら書いているので、森山さんをカッコいいと言ってくださるのはとても嬉しいです。更新は遅くなってしまうのですが、頑張ります!! (2017年9月28日 21時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
カタミ(プロフ) - 初コメ失礼します!とっても面白いです!!森山先輩カッコいい……!!更新、楽しみにしてます!!頑張って下さい!! (2017年9月17日 21時) (レス) id: ebc33a095d (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - モナカさん» ありがとうございます!遅い更新で本当に申し訳がないです。出来る限り頑張ります! (2017年5月14日 2時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花蓮 | 作成日時:2017年3月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。