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レジ袋を持ち、小堀君がくれた道順の紙を持って歩く。
そのとき、視界の端に女の人が何かを探しているのが目に入った。
ストレートの黒髪で、目元が涼やかな女性だ。何かデジャヴを感じつつもその場に近づく。
瞳「何か探しものですか?」
?「え。」
顔を上げたその人は、私を見て一瞬止まった。
きっと、私が色々としているのをしっている人なのだろう。
それを感じ取れば、思わず苦笑してしまう。
?「と、時計を落としてしまったんです。息子達からのプレゼントの。」
瞳「良ければ手伝いましょうか?」
?「良いんですか!?貴方、これから何処かに行くんじゃ、」
瞳「時間も有るし大丈夫です。」
袋を見てそういう女性に笑いかける。心の中で森山君とバスケ部の皆に謝っとくが、
きっと彼らは許してくれるだろう。逆に放っておいたら怒られそうだ。
時計の特徴を聞いてから探し始める。
ふと下を見れば、金網の下に時計らしきものが見えて、その場に膝を着く。
金網を外し、タオルで時計を取り拭けば、言われたとおりの時計がそこにはあった。
瞳「これですか?」
?「ええ!・・・って貴方、泥だらけじゃない!?」
瞳「あー。大したことないので大丈夫ですよ。それでは。」
先日雨が降っていたためか、乾いてない地面にすれたスカートに泥がついたらしく、
女の人が声をあげる。そんな女性から逃げるようにその場を後にした。
最近感謝されることが増えたが、どうにも慣れない。
とりあえず、待たせたお詫びとして何かを買おうと、コンビニへと寄るのだった。
・
瞳「・・・ここか。」
住宅街の2階建の家。その表札には“森山”と書かれている。
とりあえず1度チャイムを鳴らせば、しばらくしてからインターホンの音が聞こえた。
瞳「すみません。森山由孝君のお宅でしょうか。私、同じ海常高校の、」
?「・・・咲夜、ちゃん?」
瞳「森山君?」
どこか枯れた男の人の声が聞こえたかと思えば、その声は自分の名前を紡ぐ。
それっきり何も聞こえないため、待っていればガチャリと玄関が開いた。
そこには顔の赤い森山君が立っていて、ギョッとする。
森山「なんで、咲夜ちゃんが・・・。」
瞳「小堀君に頼まれたの。・・・中に入らしてもらうね。」
門を開けて森山君の傍に寄れば、森山君はグラリと揺れた。
それを支えればかっこ悪いなぁ、というぼやきが聞こえて溜息を吐く。
とりあえず森山君を支えつつ、家の中へと入るのだった。
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花蓮(プロフ) - shinox2さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!更新は遅いのですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!! (2018年4月2日 23時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - カタミさん» ありがとうございます!これで良いのかなと思いながら書いているので、森山さんをカッコいいと言ってくださるのはとても嬉しいです。更新は遅くなってしまうのですが、頑張ります!! (2017年9月28日 21時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
カタミ(プロフ) - 初コメ失礼します!とっても面白いです!!森山先輩カッコいい……!!更新、楽しみにしてます!!頑張って下さい!! (2017年9月17日 21時) (レス) id: ebc33a095d (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - モナカさん» ありがとうございます!遅い更新で本当に申し訳がないです。出来る限り頑張ります! (2017年5月14日 2時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蓮 | 作成日時:2017年3月19日 23時