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昼になれば、森山君はフラフラと教室から出て行った。
今日はきっと笠松君のところで食べるのだろう。
『俺、今度レギュラーになるんだ!』『IHの予選に出れるんだ!』
そんな風に彼らが話していたことを思い出して、唇をかむ。
それからはいつものように昼食を食べると、課題を済ませていくのだった。
・
放課後。本当になんとなくだけど、体育館をチラリと見れば、
ガランとした体育館の中で、笠松君ただ一人で一心不乱にボールを放っていた。
けれどそれは、ゴールに届くことなく、ただコロコロと転がっていく。
それを視ていれば、人の気配が近づいてくるのがわかり、物陰に身を寄せた。
私に代わって体育館を覗くのはバスケ部の3年生。
今年のIH勝てるといわれていた人たちだ。
男1「・・・俺はやっぱり笠松が適任だと思うんだよな。」
男2「はぁ!?止めた方が良いだろ。今回のでアイツは責任を感じてる。
これ以上責任を負わすつもりか?もうアイツは苦しんでるだろ。」
男1「だからだよ。1度折れたんだ。アイツが負けず嫌いなのは知ってんだろ?
次は大丈夫だ。それに他に誰がいる?アイツらの世代には“キセキ”がいるんだ。
小堀も森山も、まだ主将には足りない。」
男3「・・・主将自ら言うのかよ。」
男1「うっせ!俺らも着替えに行くぞ。」
3年生たちは、そのまま部室へと入っていく。・・・強い人たちだ。
クラスで彼らがどう言っているかまでは知らないが、
心中は穏やかではないだろうけど、次へと繋げようとしてる。
もう一度、チラリと体育館を見てから、その場を後にするのだった。
・
それから何日も、笠松君は塞ぎこんでいるようだった。
廊下を出ればヒソヒソ話されるのはバスケ部敗退の話。
・・・それに腹が立った。
だから、これはチャンスだと思ったのだ。
廊下を曲がろうとした所で聞こえてきたのは、
バスケ部のベンチにも入れなかった人たちの声。
「俺が出ていれば勝てた。」「最近女にばっか構ってるから負けたんだ。」
「アイツが次に主将とか信じられねぇ。」「何ならボコそうぜ?」
「止めとけって。笠松は主将達からの推薦だぜ?俺らがぼこされる。」
「じゃああの女は?」
「アイツらの女をグチャグチャにすりゃあ、アイツらも責任感じるだろ。」
「言えてるよなー!!」
少し前からそんな話が出ていることも、この人たちが主に話していることも知っていた。
・・・1人でクスリと笑えば、私は偶然を装い、飛び出すのだった。
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花蓮(プロフ) - shinox2さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!更新は遅いのですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!! (2018年4月2日 23時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - カタミさん» ありがとうございます!これで良いのかなと思いながら書いているので、森山さんをカッコいいと言ってくださるのはとても嬉しいです。更新は遅くなってしまうのですが、頑張ります!! (2017年9月28日 21時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
カタミ(プロフ) - 初コメ失礼します!とっても面白いです!!森山先輩カッコいい……!!更新、楽しみにしてます!!頑張って下さい!! (2017年9月17日 21時) (レス) id: ebc33a095d (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - モナカさん» ありがとうございます!遅い更新で本当に申し訳がないです。出来る限り頑張ります! (2017年5月14日 2時) (レス) id: 00d63b8144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蓮 | 作成日時:2017年3月19日 23時