Final night2 ページ13
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マリ「僕達がいなくなったら、僕達の記憶はAちゃん以外には無くなる、って言ったのは覚えてる？」
「うん、覚えてるよ」
マリ「僕はAちゃんの記憶からも、僕達の痕跡を消した方が良いと思うんだ」
突然のマリちゃんの提案に、皆驚いた。
「どうして？」
マリ「Aちゃんが運命について難しく考えすぎて、苦しむのを見たくないんだ。僕はAちゃんに高校生活をより楽しんでもらいたいだけ。何かに縛られすぎも良くないと思う」
「私は覚えていたい」
マリ「元々、運命は自分で切り拓くものだよ。今のAちゃんにそれが出来る？」
なんで、今更そんなこと言うの。
運命を知ってしまったら、運命に近づくように努力したい、と普通は思うじゃん。現に、さんざん努力しろ、って言われたし。
じゃあ、なんで天使は私の目の前に現れたの。
怒ってもどうしようもないと分かってるけど、怒りがふつふつと湧いてくる。
マリ「僕は、最初から言ってる。やり直しはAちゃんに人生を楽しんでもらうためだって」
「だったら、天使達との楽しかった時間も私の人生の一部だったよ。それは覚えてちゃいけないの」
毎日の生活に欠かせなくなってきた天使のことを忘れて、これから過ごしていくなんて嫌だ。
怒りと共に涙も込み上げてきた。
マリ「僕は忘れるべきだと思う」
マリはハッキリとそう言った。隣にいた聡ちゃんは慌てて、マリの方を向く。
聡「いくらなんでも、それは酷すぎない？」
マリ「Aちゃんのためを思って言ってる」
聡「でも、」
心配する聡ちゃんの声を勝利が遮った。
勝「僕も忘れた方が良いと思う。今回、分かったんだ。僕達がAさんの負担になってるって」
「なってないよ」
勝「なってる、ていうか、そうなるように仕向けた。その責任をすごく感じてた」
勝利は本当に後悔してるようにポツリと呟いた。私はこの生活に不満を感じたことはないのに。
「責任なんて感じる必要ないよ」
勝「感じるよ。一応、家族なんだし」
家族、か。そんな当たり前のこと、今更だけど改めて気づく。
勝「僕は満足してる。Aさんと出会えて、Aさんが変わる努力をしてくれて。それだけで十分嬉しかった。だから、僕らのことは忘れて幸せになって欲しい」
聡「そんな……」
この提案を聞いて、ショックを受けたのは私だけではなく、聡ちゃんもだったらしい。口に手を当てて下を向いていた。
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年7月28日 2時
