死ぬまでにやりたい事。 (ページ1)

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１.夏の暑さよりも彼女の熱さに溶けてしまいそうになったりするページ1

「坂口君ー。早くぅ～」

「……」

はぁ、僕はそっとため息を着く。

なんてせっかちなんだ。

僕と彼女の距離は10メートルぐらいだろうか。

結構離れている。

だが生憎、僕は今走りたくないから僕からこの10メートルという距離を縮めるというのはできそうにない。

…立っているだけでも汗をかいているというのに、これで走ったら汗でビショビショになってしまう。

それは絶対に避けたい。

避けなければならない。

僕の頬を汗が辿ってポツリと顎から垂れて行く。

そして乾いたアスファルトに僕の汗の跡がつく。

全く、アスファルトもご苦労なものだ。

冬になれば冷たい雪が降り積もり、夏になれば暑い熱い太陽にジンジンと照り付けられ……

最悪な人生だ。

「痛っ」

おでこにジンッとした衝撃が走る。

デコピンか……。

目の前には彼女の不機嫌そうな顔があった。

「たくっ、坂口くん！早く行こうよ」

…僕は彼女とこれから喫茶店に行く約束をしている。

勿論、嫌々だ。

喫茶店が嫌なんじゃない。

ただ、

彼女が明るすぎて…熱すぎて

溶けてしまいそうだから一緒にいたくないだけだ。

僕は彼女についていけない。