狼人間観察日記2 ページ13
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「止めよう。洋服のために家を壊せない」
「ダーマオさん良い人。あっ、中国語話せるの?」
話を聞くと、近所の犬達から中国語を学んでいたと言う。
「そうだったのか……僕達はキミの跡をつけてきた訳じゃなくて、居なくなってったからちょっと心配で……」
二ー二ーがそう言うと、少ししてダーマオが「………ありがとう」と零した。
二ー二ーは上着を脱ぐと、それを半裸のダーマオに渡した。
「着て。ここで待ってて、ズボン持ってくるよ。すぐ戻ってくるから。Aは、ダーマオと一緒に居て」
「おうよ」
ダーマオ用のズボンを取りに、二ー二ーは山道を下っていく。その間、オレはダーマオと寒い外の中、二人きりで過ごす。
「いつもだったら、あのモグラの家ぶっ壊して、ついでにお前の服くらい取ってやったけど今日は止めといてやったわ」
「……何の話だ」
「あとなんだったら、半裸のお前に服を貸す事も無いし、二ー二ーみたいに追いかける事もしねー。ぶっちゃけ、半裸のまま狼人間に変身して、人間に変態呼ばわりされるお前を想像しながら布団に入って寝る事も考えてた」
「お前、魔王か何かか……?」
「あ?オレは悪魔だ」
一息付いてから、オレはダーマオの方を見た。
「おめー、初めて万聖街に来た時から二ー二ーの事避けてたろ」
「なっ……どうして分かった」
「猿でも分かる位には分かりやすかった」
気づいていないとでも思っていたのか。
誰から見ても、ましてや二ー二ーから見ても、ダーマオが二ー二ーを避けているのは分かる事だった。
「二ー二ーは、誰にでもあーいう奴だから。可哀想とかそういうのもあると思うけど、オレと同じ悪魔とは思えねー位に優しすぎるっての忘れないでやってくれよ」
「……あぁ」
オレから伝えたい事は終わった為、会話は一旦お開きにした。
二ー二ーが戻ってくるのを待つが、一向に姿が見えない。
「にしては、二ー二ー遅くね?」
「随分遅いな」
_______その時、人間の驚く声が聞こえた。
「変態だーーー!!」
いつの間にか老若男女が集まっており、オレ達は注目の的となっていた。
「すいませーんコイツ不審者でーす!保健所でもどこでも連れてって下さーい!」
「お前、全然優しくないな!早く何とかしてくれーー!」
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作者名:阿野 | 作成日時:2022年11月26日 19時