【高杉晋助】監察舐めんなよ。【河上万斉】

二十七話 ページ28

それから私達は無言で料理し、無言で食事をしていた。

途中で河上がケチャップでハートを描いてきたが、ガン無視。

ちょっとショックを受けていたからクスリと笑ってしまったけど。

「む、もうこんな時間か」

食べ終わった頃に河上が呟いた。

「…？」

「ちょっと仕事があるゆえ、留守にする」

「えっ…！」

一人でこの部屋に…？？

怖い！怖いったらありゃしない！

「心配いり申さぬ。誰も入ったりせぬよ」

「そ、そうか…」

河上はふっと微笑んだあと、部屋の隅においてあった三味線と、机の上にあった楽譜を手に部屋を出て行った。

途端に静かになる部屋。

…なんだか、寂しいな…。

「って何考えてるんだ私ィイイイ！早く逃げなくちゃ」

そうだ、誰にもバレなければこの服装でもいける。

「……」

…でも、服装なんて本当はどうでも良かったんじゃないか？

皆に、情報さえ伝えられれば、なんだって捨てようと思ってたはずじゃないのか？

本当は…ここに居心地の良さを感じていたんじゃないか？

「んな訳ない。…刀……そう刀がないから。何もないからだ」

そう言うことにしておこう。

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