二十三話 ページ24
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フワフワした温かいものに包まれて、私は立っていた。
くるまれている訳ではなく、感触がそうだった。
(そうか、私は毒を飲んで…)
死後の世界は話で聞いていたものとは随分と違うらしい。
真っ白だ、何もない。
多分、一瞬でも真選組を裏切った私への罰なのか。はたまた皆ここに辿り着くのか。どちらにしろ地獄に変わりない。
「あれ……」
また意識が遠のいて行く。
耐え切れない睡魔と吐き気が同時に襲い、私は膝から崩れ落ちた。
「……ん…?」
ふわふわ?
温かい?
感触?
ちょっと視線をずらすと、
「布団…」
丁寧に毛布が掛けられていた。
「おはよう」
「え、おはよ……」
声の主に顔を向けると、Aはバッと布団から飛び起きた。
「おっ、おお、お前っ、かわかみっ…?!」
震える手で河上を指差し、畳の上をズリズリと後退する。
河上は何食わぬ顔で続けた。
「布団からは出ぬ方が宜しいのでは?」
「なんでだよっ!私を殺すつもりか!?」
「違う、服」
下を向けば下着だけを身につけた自分の身体。
「ぎぃいいやぁあああああああッ!!」
私は急いで元いた布団の中に潜り込んで丸まった。
「もうっ!なんなんだよ!なんでこんなこと…」
と、そこである事に気が付く。
「生き、てる…?」
布団から顔だけを出して、尋ねるように呟いた。
「む?もしや気が付いておらぬのか」
河上が苦笑してそのまま喋りだした。
「主は監察故、毒に対する抵抗が人一倍強いからであろうな」
言われてみれば、監察は闇市で販売されるあんな薬やこんな薬を自ら摂取することが多々ある。
とっているうちに毒に強くなってしまった、と言う訳か…。
「こ、ころしてくれ……」
「嫌でござる」
即答。
「うわぁあああああああ副長ぉおお!!」
辺りに女の声が響き渡ったそうで。
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スカピイース - 続きを求むでござうもさもさ!!!まじで! (5月13日 3時) (レス) @page32 id: 57544f6bb8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 面白かったです!!!!続き下さい (2022年2月28日 11時) (レス) @page32 id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
ピース(プロフ) - 最期が分かりませんでした。 (2017年12月1日 17時) (レス) id: fa425b4f2d (このIDを非表示/違反報告)
坂本優希 - ヤダ焦らしプレイですか?ノれないですね。人生は何事もノリとリズムですよ!(何 を 言 っ て い る ?) (2017年11月25日 21時) (レス) id: fd426a3898 (このIDを非表示/違反報告)
きき - 終わりッスか!? (2017年8月15日 12時) (レス) id: 0633731848 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またにゃん | 作者ホームページ:
作成日時:2014年4月17日 22時