６ ページ6
狩りは人里からなるべく離れた所でする。なぜならある時、獲物を探しながらこんな事を考えている自分に気づいてしまったから。
モシココデ、子供カ若イ娘、「柔ラカクテオイシソウナ肉」ガ現レタラ、殺シテ肉ノ塊ニシテ、持ッテ帰ッテ食ベヨウ。ソレナラ誰ニモバレナイ。
そんな自分が恐ろしくて、決して人が来そうにもない所を選ぶ。人を食うのは罪悪だ。
僕は深い深い森の奥まで足をのばす。
だから。見つけてしまった。
茨に囲まれた古い城。心が引き寄せられる。僕を呼んでいる、そんな気がした。
森から戻り、僕は色々人にその城の事を尋ねてみた。
多いのはこんな噂だ。
「あすこには、人喰い鬼が住んでおりましてね、子供をさらって行っちゃあ、悠々と食べて暮らしているんだそうで。ほれ、この国の子供がよく行方知れずになるのはそのせいだとかいう話でして。ですがね、あの城をとり囲む茨の森を通り抜ける力は人喰い鬼にしかないんで、誰も追いかけては行けないんでございますよ」
僕は内心笑ってしまった。子供の行方知れずは母の仕業だ。ずいぶんと都合のいい噂になっているものだ。
けれど、興味がわいた。
他にも、存在しているのだろうか、人喰い鬼が？ 悠々と？
自分の恐ろしさに怯えもせずに……？
僕は鬼に会いたいと、思い始めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソフィア(プロフ) - 多かれ少なかれ、人は狂気や何かへの渇望を抱えていると思うので、これは自分の話でもあるのだろうと思いました。こういうのも好きです。 (2016年2月19日 8時) (
レス) id: 150cb2cc61 (このIDを非表示/違反報告)
まゆう - 眠り姫の小説面白かったです! (2016年2月19日 1時) (レス) id: cb6946ca27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かやたび | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=banri25
作成日時：2016年2月18日 23時
