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気晴らしは、たった一人で行く、森での狩りだった。
体を動かし、健康に留意するのも統治者の息子として配慮すべきことだ。
だが、何よりも。
血を……あの、香しい赤い血を流させた獲物を堂々と食べられる! その高揚感は否定できない。
鹿の肉、兎の肉、猪の肉。
こっそり僕はその血を啜る。
水の…そう、水の代わりに。狩りをするとひどく喉が乾くのだ。
母は獲物を喜んでくれた。
だが、時折肉を食べ終えた口を拭うナプキンの下から、少し不満げな呟きがもらされるのを僕は知っていた。
「鹿は若い娘の肉に似てるけれど……落ちるわ」
ゴ ク リ。
ソンナニモ、ソレハ「オイシイ」ノカ? 一度、一度食ベテミタイ……。
僕は唾を飲む。
でも、僕は、母とは、違う。
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ソフィア(プロフ) - 多かれ少なかれ、人は狂気や何かへの渇望を抱えていると思うので、これは自分の話でもあるのだろうと思いました。こういうのも好きです。 (2016年2月19日 8時) (レス) id: 150cb2cc61 (このIDを非表示/違反報告)
まゆう - 眠り姫の小説面白かったです! (2016年2月19日 1時) (レス) id: cb6946ca27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かやたび | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=banri25
作成日時:2016年2月18日 23時