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第六章:香りのない百合 ページ6
僕はその庭でもまた、
違和感しか感じなかった。
匂いが・・・
庭一面びっしり百合が咲いているのに何も匂いがしない。
これまで息をしていた空気と全く同じだった。
”造花なのかな?” と思い雄蕊に左の指で触れた。
僕のその指には
べったりと、目障りなほど鮮やかなオレンジ色の花粉がついた。
落とそうと思いこすると余計に親指と人差し指に染みついた。
「あ・・・んー」 僕は苛立ちながらドアの方に歩いて行った。
大きなドアを開けると
部屋は空っぽだった。生活感が無いというよりも、
この世のものとは思えないほどの空虚がその空間を支配していたのだ。
無造作に置かれた椅子がたった2つ、
それだけしかこの大きな建物の中には無いのだ。
【指に着いた花粉】【二つの椅子】
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作者名:ヨナ | 作成日時:2016年7月18日 4時