リリア【ギブアンドテイク】5 ページ44
「……怒ってるのか」
「なんじゃ。怒られることをした自覚があるのかの」
「……また、噛み付いて……」
先程噛まれたところをなぞり、痛みに顔をしかめると、リリアは静かに笑った。
「……暇だったから抜け出した、悪かった」
「素直に言えてよろしい」
「……けれど、リリアの言った通り家にいた方がよさそうだったな。……面倒事に巻き込まれてたのは、わたしのほうだったかもしれない」
「まだ頭の固い連中は残っておるからのう。……せっかく大戦も終わり、種族のいさかいもなくなったというのに……」
悲しい顔をするリリアはきっと、数百年前を思っている。
「……家におるのはつまらぬか」
「……別に、リリアがいれば……」
……口を噤む。休みなど取れないと初めから言われている。
……そんなわたしをみて、リリアはため息をついた。
「……珍しくはよう上がってきたのに家におらんから慌てて探したんじゃ。書き置きくらい残していけ」
「……怒ってないのか。いや、怒ってただろ、さっき」
「どうじゃろうな。腹が減ってただけじゃが」
「妖精属でも……人間の血を飲むなんてなかなか聞かないぞ、マレウス寮長……いや、マレウスさんもそんなことしないだろ」
「ただの愛情表現じゃよ……昔と違って食べ物も発達しておるしな」
くふふ、と笑いながら、シチューに口をつけ。
「……外へ出たことは咎めぬ。じゃが。
書置きでもいいし、スマホをなんのために持っておるんじゃ。メッセージのひとつでも寄越せ。
……急にいなくなるのが、1番怖い」
「……約束を破ったのには、怒ってないのか?」
「……仕方ないから今回は見逃す。……退屈させておる自覚はあったしの」
「……じゃあ、その」
わたしは首を捻るリリアに。
「町の話を、聞いてくれないか」
「……おう、聞かせておくれ」
手を組んで微笑むリリアに、わたしは初めてゆっくりと見て回った街の話を聞かせていた。
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リュウ(プロフ) - マザーグースさん» ありがとうございます!ちょっと力抜きたくて作っちゃいました。。色々書いてるんですが載せるほどでもないかな?と思ってたんですがせっかくなのでリリ夢もぼちぼち載せていきますね…!お付き合い願えれば光栄です♪ (2020年9月5日 20時) (レス) id: 4f9eddeefa (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - こういう裏話的なのいいですね。リリ夢の書く予定ってありますか……? (2020年9月5日 18時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
リュウ(プロフ) - 無銘ちゃんさん» 読んで下さりありがとうございます♪気まぐれに書きますのでお暇つぶしにどうぞ♪ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 4f9eddeefa (このIDを非表示/違反報告)
無銘ちゃん(プロフ) - え!?めっちゃ好み (´∀`*)これからも頑張って下さい!応援してます! (2020年8月30日 16時) (レス) id: 99a8255de3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウ | 作成日時:2020年8月29日 22時