よし、番外編へ行こう。と思った今日この頃。【文スト】 参。

バレンタイン・ダリア様リクエスト ページ6

『どーぞ！』



にこやかに告げた凪の手には、いっぱいに包装されたクッキーが大量に抱えられていた。おお、と探偵社の何人かが目を輝かせた。

本日は二月十四日。とどのつまりバレンタインデーリア充と非リアの差が更に隔絶されて行く日である。何割かは逝く。


うきうき気分の世間だったが、それは探偵社もご多分に漏れず。

朝から谷崎兄妹はイチャつき、与謝野の毒(勿論致死量には及ばない)入りなのに物凄く美味しいチョコを食べた国木田は、罠にかかった草食動物を見るような目で見てくる与謝野を視認し絶望の表情を浮かべた。



「あれ、でも凪ちゃんはチョコじゃないんだね」



太宰が中身を確認して云うと、『ええ』と自らも自分用のクッキーを頬張った凪が頷く。

横からそれを乱歩に抜き取られ茫然としている凪は、乱歩にあげた筈の菓子を横取りしながら云った。



『だって、世間は手作りチョコやら何やらでリア充が大量発生してるでしょうその手作りチョコってただ市販の物を溶かして固めただけですよね何が手作りチョコだよ店の手作りチョコだよだったらカカオから育てろよって全国民に云いたくなるんですよねそう思いません？』



笑顔で宣った。


息継ぎ無しだった。


息切れ一つも起こしてなかった。



そっと誰もが目を逸らした。凪のこの発言は無かった事にされた。



『え、え？ あれ待って、えっちょ皆さ』
「他の人にはあげたのかな凪ちゃん」



戸惑う凪の言葉に強引に被せた太宰に、何人かが隠れてグッジョブをした。



『ああ……あげましたよ、織田作さんとか、ジイドとか、子供達とか、後ポートマフィアに』



何人かが殺意を持った。



「あの……これ」
「凪さん、あげますわ。あの、チョコで申し訳ないんですけれども」
「毒は入ってないから安心しな」



女性陣から次々に貰う凪はむふふ、と嬉しそうな顔だった。鏡花などは表情には出さないが周りに変なエフェクトがかかっているように見えた。





ちなみにポートマフィアではクッキーの争奪戦が行われた。

最上階で森とエリスは、凪から貰ったクッキーを頬張りながらこんな会話をしていたらしい。



「平和だねぇ」

「そうね」

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