よし、番外編へ行こう。と思った今日この頃。【文スト】 参。

龍の中・無気力ラブ様リクエスト ページ22

『こまる』

「君は……君は一体何だ──何なんだ？」



いや知らんがな、という突っ込み待ちではないようだ。というかこの人ホントマジで私の言うこと何一つ聞いてくれねえんだけど。

えー、あの……、端的に状況説明をするとですね、何か。




澁澤龍彦さんに捕まえられてます。




何を言ってるのかと思うだろ？ 残念此処は現実なんだなあ〜〜そんでもってこの人が言ってることもよく分からないんだな〜〜〜！ 彼さっきから「おかしい……ありえないはずだ。何故」とか何とかぶつぶつ喋りまくってるんだけど、すごい困るんだよなそれ。

だって私澁澤さんの脚の間に座らせられてるんだよ。いやおかしくない？？ 何故そうなった。


まぁ普通に逃げようとはしたんだけどさ、曲がりなりにもこの人異能力だからか何だか知らないけれど微妙に力強いし。あと何よりもコイツの精神が恐ろしい。やべぇ奴だと速攻で分かる。此処で逃げたらどうなるかなんて想像もできない──したくないぐらいだ。

後ろから抱き締められてる構図だからか、彼が私の髪をどけて首の匂いを嗅いでくる。いや全く関係ねえなこれ。すげえ擽ったいから本気で止めてほしい(切実)。普通に恥ずかしい。



『ぁ、あの、そろそろホントに』

「君は一体何者なんだ？ 本当に人間か？」



むしろあなたの方が人間ではないのではと言いそうになった。危ねえ何とか堪えたぜ。

とかいう脳内の葛藤をぶつけたら多分これ以上に私に執着してくるに違いない気がしたので、『は、はい』と頷く。後ろからの腕が私の頬を潰すように掴んだ。痛い。



「私が理解できない──そんなことが、この私以外にこの世に存在すると思うか？」

『エッ……、そ、そうなんじゃないですかね……』



いや知らんがな！



脳内でそう叫んだ。ちなみにこれは声に出さないのではなく出せなかった。彼の手が感触を確認するように、私の唇を後ろからふにふにと触って来たからだ。何なんだアンタ本気で。

とか思ってたら反対の手が私のお腹へと滑り落ちる。ひゅえっと変な声が出た。




「殺したら理解は及ぶと思うか？ 凪君」

『待ってあのそのナイフ』

「君はどう思う」

『うーんそうですね多分いや確実に(私があなたを)一生理解できないと思うので絶対に殺さない方が良いと思いますッ！』




切実な説得により何とか今すぐ殺されることは免れた。別の意味で死にたくなった。

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