同族・マリサ様リクエスト ページ32
「キャアアアァァア!」
『ぎゃあああああ!?』
絹を裂くような悲鳴が聞こえた。私は思わず飛び上がった。そしてもう一度飛び上がった。先程と風景が変わっている。
内心またかと呟いて、──少し顔を顰めた。今回ついて来てしまったのは安吾さん。この人は勘がいいので、こう云う時はちょっとご遠慮頂きたいのだ。
「何です、……! 全員動かないで下さい!」
安吾さんはすぐさま悲鳴が聞こえた方に向かうと叫んだ。私も何だ何だ、と其方を覗いて絶句した。
──男性が血を流して倒れている。
『安吾さん! 脈は!? つか全員動くなって云ってんだろうが! さっさと救急車と警察呼べよ!』
安吾さんに素早く問いかけ、周りの人達に叫ぶ。慌ててスマホを出す人が何人か居た。
「未だあります──ですが腹部に刃物が刺さっているので、このままでは五分と持たず失血死します! 誰か布を!」
『これで!』
速攻で上着を脱いだ。安吾さんはしっかりとした手つきで受け取り、ナイフの周りを覆った。刺されたのが胴体なので、圧迫する訳にはいかないからだ。
脈を図ると、どんどんと鼓動が弱くなっている。
ギリッと歯ぎしりした。サイレンは聞こえてはいる。早く来いよ、と心の中で叫んだ。
「……」
安吾さんがそっとナイフに手を触れた。
『……誰ですか』
「……あちらの女性です」
見ると、顔面蒼白の女性が震えて立っていた。安吾さんが自分を指差している事に気づくと、慌てて走り出す。
『お前か──!』
「やめ、離し、離して! 何もしてないわよ!」
『何もしてねー奴が逃げる訳ねーだろうが! お前が刺したのは判ってんだ、このまま警察来るまでじっとしてろ!』
私が女性を床に押さえつけて叫んだ直後に、救急隊員と警察が突入して来た。女性はしくしくと泣きながら連行された。
「──おい」
不意に放たれたハスキーな声。続けて「名前は」と云われる。恐る恐る振り向くと、
赤井っしゃーーー!!!
赤井さんかよ! そんで此処コナンかよ! そりゃ殺人未遂やら何やら起きるわ!
『へ、あの、暁、ですが』
「組織には入っているか」
『元マフィアです☆』なんて云ったらどうなるか試してみたいけど何か後ろから殺気が半端ないのでやめた。
「彼女は僕の連れなので。何か用でも?」
「……いや。何でもない、引き留めて悪かったな」
ぐい、と安吾さんが私を掴む力が、何故か強かった。
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同族嫌悪だねえ。
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とあるアニメーター - マジですか!!!ありがとうございます!お願いします! (2020年1月21日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» へえーいいですねえ!やらせて頂きますとも、何かかなり滅茶苦茶な展開になりそうですが……(笑)。 (2020年1月21日 18時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - そうですか!良かったです!リクエストで、そうだ、番外編作っちゃおう!と思った今日この頃の第3段を記念して…。みたいな感じで、今日この頃シリーズで出てきた文ストキャラ達をたくさん出してほしいです!こちらも長めになって良いので、よろしければお願いします! (2020年1月21日 18時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» ええ勿論!ちょっと遅くなるかもしれませんが番外編もとうとう三!……ひええマジかあ。 (2020年1月21日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - この番外編、続編行きますか? 続編作って頂けたら、またリクエストしたいです。 (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作成日時:2019年7月6日 21時