違う世界でも・曇天に笑う様リクエスト ページ28
少し残酷描写があります。苦手な方は引き返して下さい。本編とは別の世界軸です。
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「頼む、助け……!」
『すみません、先約が居ます』
云って私は男の脳天を撃ち抜いた。血と脳味噌が後ろに飛び散り、およそ芸術的とは云えない染みを作った。眉間を撃ったから苦しみは無い。
かかってしまった血を大量生産を目的とした一般のハンカチで拭き取り、血溜まりに捨てた。指紋はついていないから大丈夫だ。
『ありがとう御座いました。貴方の死は無駄にはしません』
何も云わない骸にそう云った。
明日で二十歳。
流石に明日は、殺し屋業は休もうかな。
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昔、不思議な体験をした。当時私がハマっていた作品の中に、どう云う訳か居た。此方の世界に戻って来た時は、彼奴が本当に目覚めていて、驚いた。
私は約束を守れなかったのに。
あの人を、救えなかったのに。
それから、日常は壊れた。彼奴への罪悪感から学校に居られなくなった。あの日々を思い出すと、毎日が堪らなくもどかしかった。
家出しよう、と決意したのはそれから幾日も経っていないだろう。
此方の世界で、私は殺し屋として名を上げ始めた。向こうで経験した事に感謝したのは、此れが初めてだった。
何もかも断ち切って、生きていた。
『な、ん、何で、』
なのに何で、
『あなた、あなたは』
織田作さんが生きているんですか。
喉がひくついた。服の中にある拳銃嚢を無意識に上から押さえた。
居たのは織田作さんだけじゃなく、太宰さん、安吾さんも居た。信じられない、という顔をしていた。織田作さんだけが奇妙に、私を見つめていた。
「凪」
救えなかった、救えなかった。あんなヤツに云われただけじゃない、私が救いたかった。
す、と彼が近づいて私の手の上から手を重ねた。私の手は震えていた。
「頑張ったな。もういい。帰ろう」
帰ろう、と彼がもう一度云った。二人は黙って私の頭をかき混ぜた。他に何も云わなかった。
うあ、と声が漏れた。
『ああっ……! 御免なさ、救え、救えなかっだ! 私なら、私なら出来たのに! 出来な、かった!』
「大丈夫だ。もういい」
明日で二十歳になるのにな、と場違いな事を思いながら泣いた。
「……矢張り、此方側には来ませんか。彼女はいい素材でしたけど」
まあ、引きずり込めば善いだけですが。
魔人が、闇奥でひっそりと笑っていた事に気づかずに。
かまぼこ食べたい・鏡の国のアリス様リクエスト→←三大将でも子供・揚げ鳥様リクエスト
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とあるアニメーター - マジですか!!!ありがとうございます!お願いします! (2020年1月21日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» へえーいいですねえ!やらせて頂きますとも、何かかなり滅茶苦茶な展開になりそうですが……(笑)。 (2020年1月21日 18時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - そうですか!良かったです!リクエストで、そうだ、番外編作っちゃおう!と思った今日この頃の第3段を記念して…。みたいな感じで、今日この頃シリーズで出てきた文ストキャラ達をたくさん出してほしいです!こちらも長めになって良いので、よろしければお願いします! (2020年1月21日 18時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» ええ勿論!ちょっと遅くなるかもしれませんが番外編もとうとう三!……ひええマジかあ。 (2020年1月21日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - この番外編、続編行きますか? 続編作って頂けたら、またリクエストしたいです。 (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作成日時:2019年7月6日 21時