タイトル未定 ページ16
橙 side
音楽室から勝手に持ってきたアコースティックギター。
あまり手入れはされていないけど、弾けへんわけではない。
自分から呼び出しておいて、今更緊張して手汗が半端ない。
それでも地べたに座る僕の向かいで屋上の柵にもたれる渋谷先輩の瞳をじっと見つめた。
「今から弾くのは章ちゃん...あ、安田章大くんが作った曲です」
「昨日一緒におったやつか」
「はい」
そう言って視線を弦に向ける。
章ちゃんと組んでからはギターを触る機会がめっきり減ってしもうたから、人前で弾くのは久しぶりやわ。
それでもやはり体は覚えているのか、演奏を始めれば自然と指が動いてくれる。
章ちゃんは普段エレキギターを使うから、きっとこの曲もエレキギターの方が良いのかもしれへん。
家でベースで弾いたときには気付かなかったことも、こうして弾いていると分かってくる。
一番までしか出来上がっていない、しかも歌詞も付いていないこの“タイトル未定”の曲。
これを聴いた渋谷先輩は、なんて言うやろうか...?
何を思い、何を感じるやろうか?
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∞章いちご∞(プロフ) - 大好きです。この章説。続きを書いてほしいです。更新楽しみにしてますね! (2016年8月15日 8時) (レス) id: 71e837c081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぷちーの | 作成日時:2016年7月12日 22時