照兄の彼女になりたい5

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翔「ショートに限りなく近いワンレンボブ。
透け感出るように、柔らかめのブルーアッシュ。
最新のトリートメントは俺からの激励って事でタダにしといてやるよ」



『………凄い、凄すぎるよ渡辺さん』






昨日、自分が大嫌いだった。


でも今鏡に映る自分は、好きだ。





女の子が髪を切る理由、なんとなくわかった気がする。




新しい恋を始める為の、準備。


可愛い女の子は、無敵だ。




自信に満ち溢れている女の子が、

可愛くないわけがない。






『渡辺さん、私ね。
昨日鏡で自分の姿見て、すごくムシャクシャしちゃったの。

なんで私とその人は似てるんだろうって』




『でも、違うね。
似てるのは、きっかけにすぎない。

………頑張ってみます、この髪型を武器に』






翔「これでもまだ比べてこようもんなら、
俺がクレーム言いに行ってやるよ。

お前にはこの子の唯一無二感がわからんのかって」




『大袈裟だなぁ、毎回』




渡辺さんがムキになることないのに。




思っている以上に、私の味方は多いようだ。





翔「ま、飯でも行くか。
もうただの客と美容師の関係じゃなくなってるしな。
Aちゃんの恋愛話、聞きたい」



『アリです！
また日程合わせましょう！
私より絶対渡辺さんの方が忙しいから、予定送ってください』



翔「んなわけねーだろ、絶対お前の方が忙しいわ」


『いや、みんなが思ってるより、普通に休み多いんですよ？』


翔「そうなの？信用ならねーけどな」





支払いをすると、受付のスタッフさんからも
大好きです、いつも応援してます、とエールを頂く。





翔「今日はそいつの為に写真は撮らないでおこっかな」


『どうせ撮影でバレますけどね』



翔「いいんだよ！！！
俺が100％携わったじゃないんだし！」




なんだ、拗ねてるだけか。


そういうところがバブいんだよ。





『本当にありがとうございました』


翔「頑張れよ」




笑顔で手を振る渡辺さん。


その頑張れよ、には沢山の意味が含まれてるんだろうな。



渡辺さんの恋愛も聞いてみたい。

ご飯楽しみにしてますね。






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