もう一つの輝き『イナイレ』 (ページ20)

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昔話 8 ページ20

鬼道side

"へえ、鬼道君、妹がいるんだ"

"ああ、一つ年下だ"

"鬼道くんに似ているときっと可愛い子だろうな～"

"……俺は可愛くない"

"ははは、そんなところがかわいいんだよ?"

いたずらっぽく笑って俺の髪でじゃれるA。初めて会った時は、サッカーのようなスポーツと似合わない容姿に大人びた雰囲気で見て警戒していたが、今になっては一人のチームメートとして受け入れた。

彼女のトレーニングは本当に俺も驚くほどだ。

選手個々人の力量を高め、同時に無理をさせないコーディネート。

努力なのか天賦の才能なのか、こんな能力なら影山総帥も望むに値すると認める。

試合の戦略を練ったり、トレーニングのために一緒にいることが多く、周りから"サッカー部夫婦"と呼ばれていることも知っている。

Aはぎこちない様子だったが、俺は悪くなかった。

理由は分からないが、Aと一緒にいると落ち着くのを感じたからだ。

春奈への複雑な気持ちもAと話をすると、春奈との良い思い出しか思い浮かばない。

それはAがそのように話を導いてくれるから。

一瞬だけれども良い兄の立場を許してくれるからだ。

"うーん..妹もこんな赤い目かな-"

Aが突然俺のゴーグルを脱がせて投げかけた言葉だった。

俺と反対になる青い目が俺の目をじっと見つめていた。

佐久間もきっとこんなAに溺れることになったのだろう。

不可抗力的なこんな笑顔に。

"春奈は俺と同じ目じゃない"

"そうなんだ。鬼道君の目に似ていても可愛いだろうな"

フフッと小さく笑う彼女。俺だけでなく、サッカー部のほとんどを子供のように接している。

初めはたいした考えはなかったが、最近はあまりうれしくない。

"可愛いっていうよりかっこいいって言ってくれないか"

"う～ん。じゃあ、かっこいい"

"せっかくの夫なんだ、もっと本気でやれ"

"あ、その噂ね…. やっぱり鬼道君も気づいていたんだ。"

照れくさそうに笑って、ゴーグルを戻すAは俺の頭をなでた。

"はぁ、まあいい"

"拗ねた?"

"いや"

'まだ大丈夫だろう。近いうちに弟扱いもできないように、本気で俺を意識させる'

"はは、素敵だと思うのは本当だよ。サッカーをするとき、鬼道君はきらきら輝くんだよ?"

明るく笑うA。

きっと、この卑怯で美しい笑顔に俺ははまっていくんだろう。