0-16◆事情 ページ19
物語は過ぎ、兵十の母親が亡くなった夜のこと。
兵十と新美南吉は座り込んでいた。
兵十『母さん……。』
新美『兵十さん、ぼく達が元気にしてないと、きっとお母さんもガッカリしちゃう。だから、笑顔でいよう。』
兵十『……そうだな。お前のおかげで俺は1人じゃない。』
新美『いや、兵十さんのおかげだよ。途方に暮れたぼくを、拾ってくれて、家族のように接してくれてるんだもん。』
新美は笑う。
兵十も自然と笑みが溢れる。
兵十『よし、明日も魚を取りに行こう。……あの盗人に気をつけないとな。』
新美『そうだね、じゃあ、おやすみ。』
兵十『あぁ、おやすみ。』
家の明かりである火を消して、2人は寝込む。
『なるほど……そういう経緯があったのですね。』
織田『どうします？』
太宰『……イヤだけど、あの2人と合流するか。』
『そうですね。いつ侵蝕者が現れるかわかりませんし。』
そうして、シェイア達は志賀と徳田を探すことにした。
.
.
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そしてまた、しばらくが経つ。
いよいよ、ごんが兵十に見つかり、撃たれてしまうところである。
新美『ねぇねぇ、兵十さん！！あれ！！』
兵十『あ！あの、盗人キツネ…！今度は俺の家に悪戯をしに来たか！！』
兵十はそう言うと、納屋にかけてあった火縄銃をとり、火薬を詰める。
そして、ごんのことを撃とうとした。が……。
新美『やめて！！』
兵十『うわっ！？』
兵十はごんを庇う新美に驚き、
全然違うところを撃ってしまう。
新美『……ダメだよ。』
兵十『なんでだ。コイツは……』
新美『これを見て……』
兵十『木の実……まさか、』
新美『きっと、ごんが木の実を置いてくれてたんだよ。』
兵十『そうだったのか？』
ごんは頷く。
新美『だから、殺さないであげて？』
兵十『……』
兵十は無言のまま、火縄銃を落とす。
兵十『………そうだな、殺さないでおこ』
次の瞬間、どこからか矢が飛んでくる。
その標的となったのは、ごんだった。
ごんは“動物には成し得ない”速さで矢を避ける。
新美『！？』
兵十『……』
徳田『僕の日常を壊す、あらくれものめ』
その矢を放ったのは、徳田だった。
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作者名：月夜 | 作成日時：2024年2月5日 18時
