彼たちがデビューするまで。【みどりくん】 (ページ26)

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不意に頬を撫でられれば表情が緩んで

せっかく我慢していたのに、流れ落ちる涙を止めることができない

私の涙を彼は静かに拭った

「もう、泣かないでよ。俺は（人1）の笑顔が好きだよ」

「うん、ありがとう」

今できる笑顔を全力で見せれば

にこっと笑い返してくれて

あぁ、これ以上ここにいたら心がもたなくなってしまう

「明日の、デビュー応援してる。亮平くんなら大丈夫、この先も絶対」

「うん、（人1）も幸せにね。なんかあったら連絡しろよ」

「うん、、じゃぁ私もう行くね。今日は会ってくれてありがとう」

「うん...じゃぁ、また」

小さく手を振る彼に背を向け歩きだす

もう、振り返らない。そう決めていたのに

「（人1）！！」

そんな、

そんな大好きな声で呼ばないでよ

立ち止まり、また溢れそうになる涙を耐える

「（人1）！俺ずっと（人1）のこと好きだったよ！」

今までずっと聞きたかった言葉

振り返ると彼は切ない表情をしていた。

一瞬でも揺らいでしまいそうになる気持ちに、ぐっと力を込める

今更、なんでよ...

「ばか亮平。もう遅いよ

私だって好きだったよ」