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貴｢あの、先日助けてもらった者です
あの時は本当にありがとう｣
爆｢ンだよ、それだけか｣
気だるげに私の話を聞く彼は、別に大したことじゃないとでも言うような素振りだった
貴｢助けてくれたのに、そのせいで怒られてるみたいだったから……それにその傷｣
片頬を覆うように貼られたガーゼ
私を助けたときにつけたものだ
爆｢怒られたのはお前のせいじゃねェし
こんくらい大したことねーわ、ナメんな｣
そう言って教室に戻って行く彼に後ろからもう一度声をかける
貴｢ほんとにありがとう！｣
態度とは裏腹に
無事でよかったな、と振り向きもしないで言った彼に私はその日、恋をした
このことをきっかけに、勝己くんやA組のみんなとよく話すようになった
初めは横暴な態度だったけど、少しずつ話すうちに彼の天邪鬼な優しさや、器用さ、面倒みの良さに気づかされて、その全部が愛おしくて卒業を機に想いを伝えた
どうやら彼も同じ気持ちだったようで、｢俺に言わせろや｣とせっかくの告白を怒られたっけな
そんなことを思い出して、病院の屋上で空を仰ぐ
夕焼け色に染る景色は、水色とオレンジ色が溶け合っていた
次の日、昨日のことはもしかしたら夢だったのではないか
そんな願いを心に秘めて勝己くんのいる病室へ向かった
勝己くんの口からまた同じことを言われたら
次こそ心がもたないかもしれないと思いつつ
それでもいいから元気な勝己くんの顔が見たかった
意をけして扉を開けようとすると
中に入る前に先生に呼び止められた
医｢爆豪勝己さんの恋人の方ですね｣
その声色に、この話がいい報告じゃないということだけはわかった
医｢爆豪さんはお話した通り一部記憶が欠如しています
ご両親やご友人からお話を聞く限り、身近な人だと貴方との時間がその欠如部分にあたると。
貴方にとっては厳しいことを言うようですが、今は彼を混乱させない為にも面会を避けていただきたいのです。｣
何となくわかっていたのかもしれない
勝己くんの記憶喪失、仕事や生活にほとんど支障をきたさない。そこにないのは私だけだ。
だから、彼は困らない。私と付き合う前の生活に戻っただけなのだから。
泣きそうになるのを、必死に堪えて｢分かりました｣と言った
貴｢でも……勝己くんが寝ているときだけ、
彼が眠っている時だけ……顔を見るだけでもいいので
会いに行かせてください｣
振り絞った震える声で伝えると
困ったように先生は了承してくれた
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桜羽(プロフ) - 桜木なおさん» コメント誠にありがとうございます。2.3.4とありますのでよろしければ是非、そちらもお読みいただけると幸いです。 (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
桜木なお - 面白いです！！！ (2022年7月22日 21時) (レス) @page34 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜羽 | 作成日時：2022年4月17日 16時
