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翌日、プロヒーロー ダイナマイトが昨夜の交戦で昏睡状態である、とテレビでも新聞でもあちこちで報道された
それを聞きつけ、A組のみんなも仕事の合間を縫って駆けつけてくれた
それから1週間が経っても勝己くんは目を覚まさなかった
日に日に不安が募る中、代わる代わるに様子を見に来てくれるみんなに励まされながら、ギリギリの精神状態でいた
父｢Aちゃん、ろくに寝てないだろう
勝己のことは私たちが見ておくから、少しは休みなさい｣
勝己くんのお父さんの優しい声と共に勝己くんと似ている大きな手が頭を撫でた
｢はい｣と弱々しく答えて、もう一度だけ勝己くん見る
力の入っていない彼の手をぎゅっと握り、立ち上がろうとした時
ピクッと彼の手が微かに反応した
貴｢勝己くん！？｣
思わず声を荒げて、彼の名前を呼ぶと
勝己くんの瞼が動き、ゆっくりと目を開く
先生を呼んでくる、と勝己くんのお父さんは急いで部屋を出た
貴｢勝己くん、わかる？
ここ病院、あれから一週間も目覚まさなかったんだよ？私……｣
安堵で我慢していた涙がぽたぽたと流れ落ちる
万が一このままだったらどうしよう、という不安が漸く晴れる
そう思ったのに
爆｢痛てェ……何があったんだ
つーか、お前
誰だ｣
漸く聞けた愛しい人のその声に
私は言葉が出なかった
勝己くんは案の定、脳に記憶障害を負っていた
一定期間の記憶が無い。所謂、記憶喪失。
記憶の欠乏した範囲は
神様の悪戯か、ちょうど私たちが出会う前だった
記憶が戻るか否かはわからないと言われた
私たちが紡いできた時間は、勝己くんの中にはない
目が覚めたら、馬鹿、とたくさん罵ってやろう
どんだけ心配させるんだ、と痛いくらいに抱きついてやろう
そんな風に考えていた
でも、今、目の前にいる彼は
私の事なんて知らない、ただの赤の他人
そう思うとまた胸が張り裂けそうなくらいに痛かった
もう優しく｢A｣と呼んでくれないのだろうか
大きくて甘い香りの体で抱きしめてくれないのだろうか
あんなに目が覚めて欲しかったはずなのに
突きつけられた現実があまりにも過酷で
私は一人、病室を出た
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桜羽(プロフ) - 桜木なおさん» コメント誠にありがとうございます。2.3.4とありますのでよろしければ是非、そちらもお読みいただけると幸いです。 (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
桜木なお - 面白いです！！！ (2022年7月22日 21時) (レス) @page34 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜羽 | 作成日時：2022年4月17日 16時
