2回目の ページ12
皆さんこんにちは。
今日は勝己くんのお部屋の前から失礼します。
突然ですが、私は今とても困ってます。
理由ですか？
実は、いつも通り勝己くんの帰りを玄関で待ち、お出迎えをしたのですが……。
ーガチャ
『ニャーン』
「…………」
『ニャ？』
「…………」
私がお帰りなさいの挨拶をしても、いくら呼びかけも勝己くんは応えてくれませんでした。
しかも私を無視して、自分のお部屋に入ってしまいました。
いつもだったら私が入るまで開けておいてくれる扉も、私が入る前にパタリと閉められてしまいました。
そして今に至ります。
はて、私は彼に何かしてしまったでしょうか？
こんな事、勝己くんに拾われてから初めてです。
とても悲しい気持ちになります…。
私には原因が分からず、ただ勝己くんのお部屋の扉をカリカリと前足で触り、勝己くんに呼びかることしかできません。
すると、カチャリと少しだけ扉が開きました。
その隙間からお部屋の中に入ると、お部屋の中は電気が付いていなくて真っ暗でした。
「……A」
『！』
後ろから抱き上げられ、思わず驚いて尻尾をお腹にくっつけます。
そして、そのままぎゅうっと抱き締められました。
勝己くんが私の背中に、顔を埋めてきたのが分かります。
何か学校であったのでしょうか……朝はいつも通りだったのに。
何も言わず、勝己くんから話してくれるのを待っているとぽつぽつと話し出してくれました。
「…デクに………負けた。
今まで……あいつは無個性で、ガキの頃だって、俺の後ろを、ただ…ついて歩くだけだった！
後ろにいた筈なのに！なのに、なのにっ！！」
『……』
後ろから抱きしめられてるので、勝己くんのお顔は見えませんが、泣いているのが分かります。
私が勝己くんの泣いているのを見るのは、これで2回目。
前は私を助けてくれた時でしたね。
私は1度勝己くんの腕から抜け出し、勝己くんのお顔が見えるように向き合います。
そしてあの時のように、勝己くんの目から零れる水を舐めとります。
『ニャー…』ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ
「…………ありがとなA」
『ンニャ』
猫である私は、こんな励まし方しかできません。
でも勝己くんは強い子なので、きっと明日には前を向いて歩ける筈です。
私は今日初めて、猫である自分が少しだけ恨めしく思いました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2641人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しぐ - かわ (9月29日 22時) (
レス) @page39 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - めっちゃおもろい もうなんか、めっちゃ好き！ (9月4日 9時) (レス) @page39 id: 6e3a47796c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 猫ちゃんかわいい(*≧з≦)❤ (2023年2月24日 22時) (レス) @page39 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 好きですっ！！！ (2023年1月16日 18時) (レス) @page39 id: 090773d13c (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 猫大好き人間です！ほんとの猫もこんなこと思っているのかな〜と思いました！更新頑張って下さい！ (2022年9月17日 19時) (レス) @page39 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：苺大福 | 作成日時：2018年12月5日 13時
