【WT】雲のように白く【短編集】 (ページ10)

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「その、よかったらなんだけど…校門まで一緒に行かない？」

『うん、帰ろっか』

平然を装いつつ答えるが、内心非常に焦っている。

心臓はひどく早くなっており、顔も赤くなっているのが分かる。

「そういえばAさんはいつもこの時間まで残ってるの？」

『ううん、たまに残るくらいだけど…』

「偉いね…俺勉強得意じゃないからさ～」

静かな廊下で私たちの声が響く。いつも通る階段だけど、なかむくんの隣で下りる階段はいつもと違って見えた。

昇降口に到着すると、下駄箱から自分のローファーを取り出す。

丁寧に扱っているローファーを履くと、なかむくんは少し恥ずかしそうに立っていた。

『なかむくん？どうしたの？』

「いや、その…Aさんって好きな飲み物あったりする？」

『子供っぽいけどオレンジジュースが好きなんだよね』

「なんか以外…！コーヒーとかかと思った…」

『苦いのは苦手なんだよね…』

なんて他愛のない話をしながら校門を出ると、俺こっちだから、と私の真反対の方を指さして手を振った。

私も手を振り返して小さくなるなかむくんの後ろ姿を見て、私も家へと帰る。

翌日、いつものように自分の席に座って読書をしていると、なかむくんが教室に入ってくるのが分かった。

本から顔を上げなくても声を聞くだけで分かる。

…我ながら本当になかむくんが好きだな、なんて思ってると、彼の声で呼ばれる。

「Aさん昨日はありがと！」

『全然、こちらこそありがとう』

「昨日のお礼！」

そう言って差し出されたのはオレンジジュースのパックだった。

どんなに難しくて複雑な問題はわかっても、なかむくんの心は一切わかりやしない。

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両片思いNkさんでした～！