【WT】雲のように白く【短編集】 (ページ23)

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巡る季節を / kn ページ23

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春は桜が咲いて、お花見しに行ったっけ。
私がお弁当作って近くの公園で桜を見てたけど、きんときの花粉症がひどくてくしゃみの印象が強いなぁ。

夏はいっぱいお出かけしたね。
夏祭り行って浴衣着て、2人でわたあめ食べて恋人繋ぎで花火も見て、綺麗だったな。

秋は紅葉見に行ったね。
イチョウ並木を2人で歩いて、美味しいものもいっぱい食べたね。

「A〜？」
『なあに？』
「上の空だったからさ、何か考え事？」
『一年あっという間だったなぁ、って。』

吐く息が白くて、今にでも雪が降りそうな天気。
寒くて凍えそうだけど隣にきんときがいてくれるからあったかい。

繋がれた右手からじんわりと、心地よい熱が伝わってくる。
ちらっと横を見ると鼻まで真っ赤な愛しい顔があった。

『きんとき鼻まで赤いね』
「しょうがないじゃん、寒いんだから」
『雪降りそうだもんね〜』
「そうだねぇ…積もるかな？」
『積もったら雪合戦しよう！』

絶対負けないぞ〜！と気合を入れて肩をブンブン振っている。
一見クールだけど子どもみたいな一面も持ち合わせている彼がたまらなく愛おしい。

『あ！噂をしていると…！』
「雪だ…！」

空を見上げると、ひらひらと白いものが降ってきた。
真近で観察しようと思って手に乗せたが、雪の結晶は手の熱でじんわりと水に変わった。

永遠なんてないけれど、巡りゆく季節をきんときの隣で見ていたい。

お久しぶりの更新になってしまい申し訳ありません；；
ちょっとずつですがまた更新して行くので何卒よろしくお願いします。