第48話 ページ10
俺は実弥さんの間合いに入った瞬間刀を手放した。実弥さんも同じく刀を手放していた。
カランと金属の音が闇に二つ響いた。
俺はそのまま実弥さんの頬を精一杯の力殴った。実弥さん後方に飛ばされた後、空中で軌道を変えまっすぐ俺を見ていた。
「……なんで反撃しないんですか。貴方ならこのくらいの攻撃躱せるでしょう。」
殴った拳がやけに痛かった。無意識に震えた声でそう言うと実弥さんは静かに笑った。
「このくらいの攻撃、躱す価値すらねぇよ。全部受け止めてやるからよォ、だからさァA」
────戻って来いよ。
闇に消えてしまいそうな声で言った。いつもの実弥さんとは考えられない、静かな目だった。
俺は唇を噛み締め、拳を奮った。頼むからこれ以上何も言わないでくれ。
色々なものが溢れてきそうだ。
実弥さんは地面に倒れ込み、俺は馬乗りになってただ実弥さんの頬を殴っていた。
実弥さんはその時も、静かな目で俺を見ていた。まるでなにかを探られているようで、怖かった。
何発殴っただろうか。ふと実弥さんが口を開いた。
「……お前、何泣いてんだよ。俺の首を取りに来たんじゃないのかァ?そのくらいの弱い覚悟で出っててたのかよォ。」
痛々しい顔を無理やり動かして笑う実弥さんを見て俺は我に返る。
頬に伝っていたのは涙。それに気づいてしまうと止める方法なんてなくて。
その涙は実弥さんの顔にぽたぽたと落ちた。
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みー - もう夢主が性癖にぶっ刺さってくるぅ!!不死川さーん!!!かっこいいっす!泣きました (2021年9月6日 18時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - かすみ草とハルジオンさん» とても光栄なお言葉ありがとうございます!嬉しいです!! (2020年4月9日 0時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
かすみ草とハルジオン - 夢主のキャラと言うか性格が好きすぎてヤバいです! 普通に号泣できるぐらい凄いです!((語彙力 こんな凄い作品を読ませてくれてありがとうございます! (2020年3月23日 15時) (レス) id: 36ef626f85 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - √さん» ありがとうございます!嬉しいです!!呼吸の取得おめでとうございます(笑) (2019年12月27日 12時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
√ - 尊いの呼吸・弍の型 号泣が使えるようになりましたありがとうございます (2019年12月23日 21時) (レス) id: 0e9c842430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2019年9月8日 18時