【鬼滅の刃】鬼が育てた子供は嘘が上手なようで。其の弐【男主】

第59話 ページ21

「俺の、本心……。」



いつか、煉獄さんに言われた言葉。本心を言え。
鬼殺隊は、大丈夫。鬼殺隊の皆は、俺の事を心配している？



こんな嘘つき、誰が……



“Aの嘘は、皆と自分を守る為の良い嘘だ！”



嗚呼、いつだって煉獄さんは俺の欲しい言葉をくれる。
暗闇から光のある方へ手を差し出してくれる。
実弥さん、宇髄さん、ごめんなさい。



「俺は、馬鹿だ。あの人たちの優しさを無下にしてまで嘘を着くなんて……」



そんなこと、絶対に駄目だろう。



俺は立ち上がった。もう、こんな所で自分を偽り続けるのは御免だ。



俺の本心。皆を守る為、自分を守る為についてきた嘘。
見栄を張って、偽りの笑みを貼り付けて、仲間を傷つけた最低な嘘。



嘘つきの俺が、俺は大嫌いだった。



鬼殺隊に嘘をついていた理由は鬼舞辻にバレない為、
鬼が育てたとバレない為では無い。本当はただ────



俺は拳を握り、上を見る。
何処までも続く入り組んだ部屋が此処から逃げられない事を物語っている。



「上等じゃねぇか……。」



絶望的な筈なのに、何故か俺は笑っていた。
今までで一番楽しいと感じるのは何故か。



此処から自力で逃げ出すことは不可能だ。
そうなるとやっぱり鬼舞辻と直接対決になるだろう。



勝ち目はかなり低い。いいや、低いか高いかなんてどうでもいい。
絶対に此処から出てみせる。



今はそれ程迄に鬼殺隊の皆に会いたいと思った。

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