【鬼滅の刃】鬼が育てた子供は嘘が上手なようで。其の弐【男主】

第51話 ページ13

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遡る事、三週間前。



「……では、これから緊急柱合会議を始める。皆理由は分かってるね。」



産屋敷邸にて。柱である隊士を中心に柱合会議が開かるところだった。
集められた隊士達は、皆産屋敷の言葉に首を縦にふった。



────Aの失踪。



産屋敷は皆の反応を聞き、頷きながらゆっくりと口を開く。



「Aが鬼殺隊に顔を見せなくなった。否、“鬼舞辻側についた”と言った方が正しいかもしれない。」



その言葉で場はさらに静まり返った。皆そのことを受け入れられてないようだった。
特に風柱、水柱、音柱は目を見開きその場から動けなくなっていた。



「……そんなの、信じられるわけがない。」



静寂の中、一人震えた声で口を開いたのは水柱、冨岡義勇だった。
拳を握り、何かを耐えているようだった。
普段無口、無感情な冨岡が感情を見せるのはとても珍しいことで柱達はとても驚いている様子だった。



産屋敷は悲しそうに笑い、ある三人の隊士に目を向けた。



「……それでも事実なんだろう。炭治郎、善逸、伊之助。」



皆の視線が一斉に三人に向く。三人はその視線に耐えながらもゆっくりと頷いた。



「Aは、鬼側に行くと言っていました。煉獄さんの事も悪く言って……
俺、怒りに任せて頭突きしようとしたんです。でも、避けられて……
そのまま行ってしまいました。その背中から、悲しい匂いがして……あの時、俺が止めていれば……！」



途切れ途切れに話した炭治郎は悔しさのあまり、俯く。
あの時こうしていればと思っても、もう遅い。だからこそ悔しくて、涙を堪えるのに必死だった。



「炭治郎の所為じゃないよ。
……俺、聞こえたんです。耳がいいから……。此処にいて楽しかったって。
煉獄さんにも、感謝の言葉を言っていて。きっとAは本当は鬼舞辻側につきたくなかったのかも……」

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