【鬼滅の刃】鬼が育てた子供は嘘が上手なようで。【男主】 (ページ23)

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第20話ページ23

「鬼の、世界……俺の、居場所。」

意識が朦朧とする。視界が赤に染まって何も見えない。
俺はうわ言のように猗窩座の言葉を呟く。もう何も考えられない。何もかも、疲れた。

「そうだ。そろそろ夜が明ける。早く行こうぜ、お前の本当の居場所へ。」

「行く、俺の居場所……」

猗窩座が俺を押さえ込むのを辞めた。肺に沢山空気が入ってきて、俺は肩で呼吸をしながら息を整えた。赤く染っていた視界も治り、段々と意識がハッキリしてきた。目の前にはニヤリと笑った猗窩座が楽しそうに俺を見ていた。俺はノロノロと立ち上がり、思い切り息を吸った。このままじゃ、死んでしまう。あれを使うしかない。

「鬼の呼吸、治癒、灯火の……嘲笑」

俺は闇の呼吸と共に、もう1つ独自で生み出した呼吸法がある。鬼舞辻に教えてもらったことをねじ込んだだけの呼吸法。これを俺は皮肉も含めて鬼の呼吸と言う。血鬼術ではないが、鬼と同じようなことができるようになる。

この技は心臓を貫かれない限り、どんな怪我も再生できる技だ。否、そうなるように鍛錬した技だったりする。

全身の骨がバキバキといい、折れた骨の部分の細胞がくっついていくような感覚がした。
ちなみにこの呼吸は、鬼殺隊には内緒にしている。怪しまれないためにと隠してきたのだ。
ただ、欠点がある。

「お前はそっちの方がお似合いだぜ。さっきの顔よりか幾分かマシだ。……おい、待てよ。そりゃあ聞いてないぜ。」

猗窩座が俺を見ながら後ずさった。夜明けが近づいているので焦っているのだろう。
なんだろう。身体がいつも以上に熱くて、闇に包まれた夜も鮮明に視える。
そんなことはどうでもいい。この技の、この鬼の呼吸の1番の欠点は────

「お前、一口喰わせろよ。」

鬼や人を喰べたくなってしまう、飢餓状態になってしまうのだ。