第25話 ページ28
煉獄さんとは別れ、俺はお館様の元へ向かうべく細い道を歩いていた。
それにしても、猗窩座は俺を鬼舞辻の元へ戻すために俺の前に現れたんだよな。
鬼舞辻直々の命令だったのだろう。今頃半殺しにされているかな。可哀想に。
まあ俺は何がなんでも戻らないがな。
そんな物騒なことを考えながら歩くこと30分、産屋敷邸に到着した。
ここに来たのは猗窩座との対峙の事と鬼の呼吸の事を報告するため。
まだ鬼に育てられたと言うのは勇気がない。
きっと話している間に矛盾が生じると思うが、お館様なら察してくれるだろう。
「お館様様、ご報告に参りました。辻村Aです。」
あまねさまに案内され、お館様のお部屋に入り膝をつく。
俺は頭を下げお館様様の返事を待った。
「頭をあげなさい。よく来たね。A。鴉から大体のことは聞いているよ。詳しく教えてくれるかな。」
俺は頭をあげ、お館様の目をしっかりと見た。そしてゆっくりと口を開いた。
「俺は上弦の参、猗窩座と名乗る鬼と対峙して、戦った際、俺は大怪我を負いました。」
「……でもAは無傷だね。」
はい、と俺は言葉を紡ぐ。まだ言うのに抵抗があるがこればかりは逆に怪しまれる。
「俺は闇の呼吸ともうひとつ、鬼の呼吸と名付けた独自の呼吸方があります。
その呼吸は身体の再生など、人間離れした所謂鬼のようなことができるようになる呼吸です。
血鬼術とはまた違いますが、詳しくは俺も探り探りで……。
ただ1つ、その呼吸には欠点があり使ったあと必ず飢餓状態になるのです。その時の記憶はパズルのピースのようにぽっかりと穴が空いて俺にもその間のことはわかりません。」
俺は大きく息を吸って続けた。
「俺は鬼の呼吸を使い、折れた肋の骨と損傷した内臓、切れた左眼球を治しました。
その分飢餓状態になった訳ですが記憶がなく……恐らく猗窩座の腕を喰べたと思われます。」
お館様様は何か考える素振りをし、暫くして俺にニッコリと笑いかけた。
「話してくれてありがとうA。よく頑張ったね。」
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らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時