検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:137,193 hit

8*まふまふ ページ8

『…っ、そういう、ことだから』

私がそう言うと、ろんちゃんは泣きそうな顔になった。
罪悪感が胸にこみあげる。

しかし、その前に松下の鋭い声音が私を刺す。

「どういうことよ。クロはAのこと心配してくれてるんでしょ!?」

続いて、ろんも。

「そうだよぉっ…私たちも、ずっと心配で…Aちゃん、自分勝手だよ…」

――――刺されて。

たくさんの言葉のナイフで刺されて、

自分がハリネズミみたいになっていくのが分かる。

『心配!?お門違いもいいとこよ、私の自由にしちゃいけないの!?』
「っ…それは、」
『、…っもう、お願い。放っておいて…』

これ以上、彼女たちを刺したくない。

私は、自分で、

切った。

彼女たちと、私の間を、切った。

彼女たちと、もういつもどおりに話せないだろう。
教室に行っても、きっとよそよそしくなるだろう。

でも、もうそれでいい。

それがいい。

私は、頬に伝う涙を見られないようにきびすを返す。

「…A、」

クロの声が聞こえたけれど、かまわずに走り出した。

ああ、もう嫌だ。
なんで、どうして。

なんでこんなことに。


――――…そう思っていた、矢先。

「…っと…A、どうかした?」

どん、とぶつかってしまった。
しかし、聞こえてきたのは彼の声。

『まふまふ、くん…っ』
「泣いてる…どうしたの?」

スッと頬に添えられた手、その手が、とても温かくて。

私は、ワッと彼に泣きついてしまった。

ゆっくり、優しい声で彼は理由を聞いてくれて、

頭を撫でてくれて、

階段下の物陰に連れて行き、目立たないようにもしてくれた。
そんな彼に、滅茶苦茶だったけれど、支離滅裂だったと思うけれど、友人とのことを話す。

彼は、優しく笑って、一言。

「がんばったね、A」


――――…そんな、言葉。

『まふまふ、くん…っ』
「がんばったよ、Aは」
『うん、…うんっ…』

優しい言葉に、とげとげしていた心がやわらかくなっていくのがわかった。

――――…気がついたら、口走っていた。

『好き、…っ、まふまふくん、好き…!』
「…!…ほんとに俺で、いいの?」

まふくんは、目を見開いた。
私は、こくこくとうなづく。

9*まふまふ→←7*まふまふ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (323 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
247人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

私の前で語尾に矢印をつけないでください - 完成度高過ぎて🤦🤦 (2023年1月16日 23時) (レス) @page50 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
meal - なんだか深い小説でした 作者様のあとがきに色々と考えさせられました (2017年8月29日 19時) (レス) id: 94e05bb702 (このIDを非表示/違反報告)
みみね - カッコいい小説でした。 (2017年5月12日 20時) (レス) id: 4825a094c8 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - ナノハナさん» 久しぶりに見たらコメントが来ていたので驚きました。ありがとうございます!とっても嬉しいです! (2016年10月12日 17時) (レス) id: b6c08d2ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - こんにちは、この小説を読みました。どのお話もすごく良かったです。特に狂愛のお話はあまりにも切なくて泣いてしまいました。 (2016年10月8日 13時) (レス) id: edb9894186 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さやえんどう | 作者ホームページ:http  
作成日時:2013年5月19日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。