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1*そらる ページ29

「じゃあ、気をつけてね」
『うん』

靴を履き、玄関にある鏡でメイクと髪型を確認する。
うん、よし。

「終わったら電話してね。迎えに行くから」
「はぁい。分かってる」

そして、目の前にいる、同棲中の彼氏―…

そらると、キスを交わす。

まだ不安げに揺れる彼の瞳。
私は微笑んだ。

『大丈夫だよ、会社の女子会だし…。そらるに心配かけるようなことはしません』
「俺のこと愛してる?」

毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日、テンプレートのように訊ねられるその言葉。
これで、本人はいたって本気なのだから面白い。

私は微笑んで、そらるの頬にキスをした。

『もちろん。いつだってそらるが一番だよ。
…じゃあ、行ってきます』
「…いってらっしゃい」


待ち合わせまであと30分、まあ5分前には着くだろう。



――――…23歳の私は、今夜、会社の女子会がある。
仲のいい女友達と集まるのだ。

なかなか出てこれない私が参加するとあって、みんな驚いていたけれど嬉しそうで、私も嬉しかった。


先刻自分が出てきた家を見る。

高校を卒業してから、あそこで彼氏のそらると同棲している。

―――…高校、か。

すると、楽しそうな高校生のカップルが道の向こうからやってきた。

まるで、…そう、まるで、昔の私たちみたいな。

私は、そらるに見繕ってもらった服に身を包み、そらるに買ってもらった指輪に触れる。

そして、そらるが“綺麗だ”と言ってくれる顔でそっと微笑んだ。



―…さあ。


待ち合わせ場所に着くまで、ゆっくりと過去にでも思いを馳せようか。

2*そらる→←=次回予告=



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私の前で語尾に矢印をつけないでください - 完成度高過ぎて🤦🤦 (2023年1月16日 23時) (レス) @page50 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
meal - なんだか深い小説でした 作者様のあとがきに色々と考えさせられました (2017年8月29日 19時) (レス) id: 94e05bb702 (このIDを非表示/違反報告)
みみね - カッコいい小説でした。 (2017年5月12日 20時) (レス) id: 4825a094c8 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - ナノハナさん» 久しぶりに見たらコメントが来ていたので驚きました。ありがとうございます!とっても嬉しいです! (2016年10月12日 17時) (レス) id: b6c08d2ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - こんにちは、この小説を読みました。どのお話もすごく良かったです。特に狂愛のお話はあまりにも切なくて泣いてしまいました。 (2016年10月8日 13時) (レス) id: edb9894186 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやえんどう | 作者ホームページ:http  
作成日時:2013年5月19日 15時

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