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18*まふまふ ページ18

「ごめんね、痛い、と思う」
『ううん、…大丈夫だよ』

私は、安心させるかのようにまふくんを抱きしめる。
私たちがいるのは、全てが始まった部屋。

―――…ここ、まふくんの部屋で、全てを終わらせる。


――――…私たちは、間違っているかもしれない。



「好きだよ、A――…」
『…たしも、…私も、大好き』

―――…でも、私たちの“愛”という感情は、間違っていないはず。



じゃあ、もういっそすべて終わらせようか。

分厚いカーテンの引かれたこの部屋で、すべてを終わらせてしまおうか。


――――――…さあ、目を閉じて?


苦痛さえ感じないよう、感覚を失くして。


「A、…愛してる」
『まふくん、私も…ッ』


そして、彼の優しくて、残酷な手が。
美しく輝いた、鋭利なナイフを持った彼の手が。


ゆるりと上がった。


涙も、声も出てこない。



出す、必要も無い。




死ぬのは怖い。




でも、彼への愛があれば。



死ぬときも一緒なら。





怖さだって、はんぶんこ。


…もう一度、想う。

――――――――――…私たちは、どこから間違っていたんだろう?



そんな考えを、また打ち消す。





どこも、間違っていないと。




彼が好きな気持ちに、うそは無い。



それは、間違いがないことと同じじゃないの?




まふくんの唇が、私のそれに重ねられた。



それと同時に、



激痛が走る。


目の前で閃光がはじけた。


私は、ゆっくりと意識を手放した。

**→←17*まふまふ



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私の前で語尾に矢印をつけないでください - 完成度高過ぎて🤦🤦 (2023年1月16日 23時) (レス) @page50 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
meal - なんだか深い小説でした 作者様のあとがきに色々と考えさせられました (2017年8月29日 19時) (レス) id: 94e05bb702 (このIDを非表示/違反報告)
みみね - カッコいい小説でした。 (2017年5月12日 20時) (レス) id: 4825a094c8 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - ナノハナさん» 久しぶりに見たらコメントが来ていたので驚きました。ありがとうございます!とっても嬉しいです! (2016年10月12日 17時) (レス) id: b6c08d2ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - こんにちは、この小説を読みました。どのお話もすごく良かったです。特に狂愛のお話はあまりにも切なくて泣いてしまいました。 (2016年10月8日 13時) (レス) id: edb9894186 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやえんどう | 作者ホームページ:http  
作成日時:2013年5月19日 15時

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