宴５ ページ5
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｢化粧はなにも、美しくなるためだけのものでもありませんから｣
淡々と語るノアに、分からないなとエルヴィンは首を傾げている。
｢意味があるのか？｣
｢……知りたいですか？｣
目を伏せ乾いた声で述べるのは、天上の甘露に隠れた現実だ。
｢路地裏に連れ込まれないようにするためです｣
花街とはいえ女に飢えた奴らがいる。金も持たず至極暴力的で性病持ちも多い。
｢ちびで痩せぎすの醜女ならば、狙われる確率は減りますから｣
｢連れ込まれたのか？｣
｢未遂ですよ｣
その代わりなのか、その入墨の材料を採りに行った先で攫われたことでここに至るのだ。
｢悪かったな。警備が行き届いていなくて｣
｢団長のせいではありません。兵が警戒していようがいまいが、あそこの治安が悪いのは変わりませんから」
今もなお同じように化粧をしているのは素顔になるタイミングが分からず惰性でやっていただけに過ぎない。
そこまで述べて顔を上げると、今まで黙って聞いていたリヴァイがノアを覗き込むように屈み、顔に手を伸ばした。
そのまま顔だけ横を向かされると右耳に何かがはまる。
｢痛いです｣
ノアの眼前にいるリヴァイはいつもの感情の分からない顔ではなく、どこか決まりの悪そうな複雑な表情だった。自身の耳に手を沿わせると冷たい金属の感触がある。
｢そうか、やる｣
それだけを言い残して彼は先に行ってしまった。
取り残されたノアたちの中を張られた弦のような緊迫感が通り抜けたあと鏡を見ると、耳にはめられたのは男物のイヤーカフだった。
蔦模様のそれは先ほどまでリヴァイが付けていたもので、葉の部分にはプリムラのような青紫色の石が一つあしらわれている。
ニファとペトラが物欲しそうにこちらを見ているのであげようと思ったがエルヴィンに目で制されたのでやめておいた。
ハンジは体をゆすって笑うとノアに近寄り耳上の髪を丁寧に後ろへ整えてくれた。
｢大事にしてやってね｣
その言葉の真意も知らず、ノアは｢はい｣とだけ返した。
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りこまる - あと気になったんですけど、主人公の容姿ってどんな感じですか✨ (1月12日 2時) (
レス) @page18 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - コメント失礼します、少し遅れましたけど新年あけましておめでとうございます，小説書くのお上手ですね、応援しまいます！ (1月12日 2時) (レス) @page18 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - こめつぶさん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (12月14日 23時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - 琴さん» コメントありがとうございます。うわー…完全に捻じれていました、ご指摘いただきとても助かりました。今一度推敲を徹底しますね。 (12月14日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - コメント失礼します、この素敵なお話に出会えて幸せです、これからの展開を楽しみにしています！(余計だとは思いますが宴10のページ色的にジゼル様が火とルビーでオディリアが風とエメラルド…？あれ…？と思っております) (12月14日 22時) (レス) @page10 id: 29906faa0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司 | 作成日時：2023年11月29日 18時
