帰省５ ページ23
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隣に座る男―テオは夢の対面が現実となるからなのか綱を手に鼻歌を歌いご機嫌だ。
一口に妓女と言っても身を売るもの、芸を売るものさまざまである。売れっ子であればあるほど客を取らずに希少価値を上げていく。そしてそんな存在はいつか一種の夢となる。
憧れの存在になるために遊郭の門をたたく娘も少なくない。しかし決して甘くない。住み込みの見習いですら売れる保証のない世界なのだ。シャングリラは花街の中でも老舗で、その最上級に君臨する三姫はまさしく雲の上の
石畳の道を行くと懐かしい風景に変わっていく。切望していた串焼きの匂いが鼻についてノアの腹が小さく鳴る。この先は別世界。昼間なだけあってこの街本来の艶麗さはまだ姿を見せておらず人通りもまばらだが、暇な遊女がバルコニーから手を振っている。
ひときわ豪華な門を持つ楼閣の前で馬車は止まった。
｢着いたぞ｣
興奮冷めやらぬ様子のテオに連れだって門をくぐるとキセルを噛む老婆が入口に姿を見せた。
｢久しぶり！婆さん！｣
皺だらけの枯れ木のような姿の婆にノアは駆け寄る。かつて水晶の涙を持つと言われていた人気妓女も今では誰もが恐れるやり手婆になってしまったのだから年月は残酷だ。
にこにこと走ってきたノアのみぞおちに固い拳がのめり込む。たまらずノアはその場に崩れ落ちた。
｢何が久しぶりだいこの莫迦娘！｣
胃酸の逆流する感覚すらも懐かしく思える。これで毒物を吐き戻した数を数えても片手では収まらない。一方テオは訳が分からぬままノアの背中をさすっている。
｢ふーん、この憲兵サマが上客ってわけかい。悪くない顔だ、聞くところによると出世株らしいじゃないか｣
｢婆さん、それ本人の前でいうのはどうよ｣
値踏みするようにテオを眺めたやり手婆は素知らぬ顔をして禿を呼びつけ一人の名を出した。
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りこまる - あと気になったんですけど、主人公の容姿ってどんな感じですか✨ (1月12日 2時) (
レス) @page18 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - コメント失礼します、少し遅れましたけど新年あけましておめでとうございます，小説書くのお上手ですね、応援しまいます！ (1月12日 2時) (レス) @page18 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - こめつぶさん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (12月14日 23時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - 琴さん» コメントありがとうございます。うわー…完全に捻じれていました、ご指摘いただきとても助かりました。今一度推敲を徹底しますね。 (12月14日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - コメント失礼します、この素敵なお話に出会えて幸せです、これからの展開を楽しみにしています！(余計だとは思いますが宴10のページ色的にジゼル様が火とルビーでオディリアが風とエメラルド…？あれ…？と思っております) (12月14日 22時) (レス) @page10 id: 29906faa0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司 | 作成日時：2023年11月29日 18時
