小夜曲３ ページ42
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作り終えた軟膏を持って医務室へ向かう。
惚れ薬の調薬の時に顔を合わせて以来、はじめは訝し気だったこの初老の医官もノアが薬を作れると分かったからか今では茶菓子を出し、必要な材料を分けてもらえるくらいに随分態度が軟化している。
一般人に易々と材料を渡すのは医局としてあまりよくないことであるが、守秘義務だとかは頭にないらしい。
｢お茶を入れたよ｣
最近、いろいろ餌付けされている気がしないでもないが今日は雑茶とエショデだ。辛党のノアにとっては甘さが控えめのこの菓子は嬉しい。この医官、性格はいいが仕事はできないタイプだ。
｢私の分も頼めるかな？｣
艶気のあるまろやかな声がする。
振り返らずとも医官の驚きと高揚を浮かべた顔で誰かははっきりとわかる。
せっかく用意した雑茶とエショデは、紅茶とガレットに替えられてしまう。
あでやかな笑顔が隣に腰掛ける。同席を拒否しようとしたが無理やり肩を抑え込まれた。
強引な行為にノアは辟易する。
｢すまないが、奥からこれを取ってきてくれないか？」
エルヴィンが医官に渡した紙切れにはかなりの数が書かれている。どうやらただの時間稼ぎであろうと察せた。最初からそのつもりだったのだろう、医官は残念そうな顔で奥の倉庫へ入っていった。
｢で、本題は何でしょうか？｣
察しのいいノアに、エルヴィンは満足そうに聞き返す。
｢幽霊騒ぎは知っているか？｣
｢噂程度に｣
｢では、夢遊病という言葉は？｣
アンバーの瞳に星を光らせたノアをエルヴィンは見逃さなかった。くくく、と意地悪い含み笑いを漏らすとノアの肩を掴み眼前まで迫ってくる。
｢どうやったら治る？｣
｢少なくとも薬で治せるものではありませんので｣
花街にいた頃、この病に罹った者がいたが養父は何の処方もしなかった。
｢では何なら治る｣
｢私の専門外です｣
言い切ったつもりのノアであったが、手を振り払い距離を取ろうとするのを憂いを含んだクリアブルーが逃すまいと回り込み、大きな手がノアの頬を捉えなでる。
かなりうざったい。
｢……善処します｣
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寿司(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とてもありがたいです。続編についてですが修正のため一時公開を制限しておりました。只今パスワードを解除しましたのでお知らせいたします。これからもよろしくお願いします。 (12月15日 22時) (
レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - とても好きな作品でいつも続きが気になっています。続きが気になって読みたいのですがパスワードを解除することはできないでしょうか？ (12月15日 17時) (レス) id: a8542e33a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます！拙文ではありますが楽しんでいただけると嬉しいです。 (11月21日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 自分の好きな漫画のクロスオーバー！！中々ない組み合わせなのでめちゃくちゃ嬉しいです！！ (11月7日 21時) (レス) @page16 id: bda3c5db2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司 | 作成日時：2023年10月14日 23時
