看病６ ページ37
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その後は目まぐるしく過ぎていった。
レヴィアの容態は思ったよりも悪かった。
粥を重湯に作り直したが匙から吸う気配がない。仕方なく無理やり口に流し込み嚥下させるのを根気よく、しつこいくらいに繰り返した。
やはり食事を摂らぬことには治るものも治らない。窓を開ければ体臭をごまかすために焚かれていた香が薄れ、病人特有のにおいがする。風呂に入れることもできないにしても、清拭もしていないのかと侍女たちに対する憤りが増す。
｢湯桶とタオルを準備して、身体を拭くんだ｣と呼んだ時にも彼女たちは怖気づいていて、じとりともの言いたげな目を向けると慌てて従ったものだから呆れを通り越して愉快な気持ちになってきた。
ことあるごとに茶やスープを飲ませ、小用の数を増やすことで毒の排出を促進した。ひび割れた唇には紅の代わりにはちみつを塗り広げた。
顔も知らぬノアの看病をレヴィアは大人しく受けていた。あるいはうつろな目をしていたから、誰かを認識できなかったのかもしれない。食べる量が増えたら噛めるものの量をふやし、自力で呑み込めるようになるとおろした果実も加えた。
小用が手伝いなしにできるようになった頃、老婆のようにかすれた声でレヴィアが口を開いた。
｢…うて、……のた｣
切れ切れの言葉を拾わんとレヴィアの枕元に耳を寄せる。
｢ど…うして、死なせて……くれなかった」
なんだ、そんなことか。
ベッドサイドに置いていた器から粥を掬い彼女の口元へ運ぶと、すんなりと喉へ通っていった。
｢ならば、食事を摂らねばいいことです。粥を食むということは｣
生きたいからでしょう、とノアが目を細めるとレヴィアの頬に一筋涙が伝った。
結果として、レヴィアは散歩ができるようにまで快復した。
新たに毒を摂らなければもう身体に心配はないだろう。
はっきりと意識を取り戻した彼女にノアの身分と経緯を話しても嫌な顔はされなかった。それどころかさらりと頭をなでられてむず痒い気分になった。
生気を失い痛々しく割れていた唇はその影もなく潤いを取戻し血色も良い。
自尊心はあれど高慢ではない。
王子のあれこれで嫌なお嬢様だと想像していたが実際は妃にふさわしい品格をもっていたようだ。彼女の凛とした佇まいにノアは自身の上官を想起した。
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寿司(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とてもありがたいです。続編についてですが修正のため一時公開を制限しておりました。只今パスワードを解除しましたのでお知らせいたします。これからもよろしくお願いします。 (12月15日 22時) (
レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - とても好きな作品でいつも続きが気になっています。続きが気になって読みたいのですがパスワードを解除することはできないでしょうか？ (12月15日 17時) (レス) id: a8542e33a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます！拙文ではありますが楽しんでいただけると嬉しいです。 (11月21日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 自分の好きな漫画のクロスオーバー！！中々ない組み合わせなのでめちゃくちゃ嬉しいです！！ (11月7日 21時) (レス) @page16 id: bda3c5db2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司 | 作成日時：2023年10月14日 23時
