調薬５ ページ27
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｢ここにあるものは自由にしていいそうだ｣
2ｍは優に超えるであろう薬棚が整然と続く大倉庫。
棚の見出しにはありふれたものからノアでさえ文献でしか拝見したことのないものまで。兵士になって以来一番の興奮を覚えているノアをミケが驚いた様子で見ていたがそんなことは関係なかった。
頬は上気し目は潤み、引き出しを開けては中身ににやついて奇妙な動きをする。喜びのあまり頭の中で収集するに追いつかなかった。
｢その踊りは呪いか何かか？｣
小一時間、ミケは奇異の目でノアの舞が終わるのを待っていた。
端の薬棚から必要なものを集める。
ミケにあれこれ指示を出しながらノアはてきぱきとそれぞれを薬包紙に包み名前を書いていった。
たまに寄り道をしてはミケに鼻で笑われ、こちらは苦笑いを返してを繰り返したところである程度が集まった。が、引き出しの1番上のものが欲しかった。
見覚えのある名前に身を乗り出そうとするがノアには届きそうもない。ミケを呼びあれが欲しいのだと指さすと、何を思ったのか彼はノアの両脇に手を差し込みひょいと抱え上げた。
｢そういうことではないのですが｣
｢これで届くだろ｣
そりゃあそうだがこれじゃ赤子の扱いだと無表情の奥で不貞腐れたノアはそそくさと引き出しを開けた。
｢なにをしてる｣
ギョッとして入口を見るといつの間に現れたのやらエルヴィンが珍妙なものを見るような目でこちらの様子を窺っていた。
｢今回の調薬に必要なものなのですが、これだけでは足りません｣
引出しの中身をエルヴィンの掌にのせる。
手渡された種子を摘み、空を宿したような瞳を瞬かせるエルヴィンを見たノアはくすりと口角を上げた。
｢東南の方でとれるものです｣
独特な香りのするそれに、鼻の利くミケは見たことのない顔をしていた。
｢カカオと言います。高級品ですが手に入るのでしょうか｣
｢なに、足りなければ用意すればいいだけのことだ｣
じゃあ目途は立ったと倉庫を後にしようとしたノアだったが、扉のすぐそばにあった見出しが目についた。
まあ、念には念をいれておくか。
小瓶の中身をしばらく見つめるとこれから訪れる至福の時間に思いを馳せ頬が緩んだ。
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寿司(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とてもありがたいです。続編についてですが修正のため一時公開を制限しておりました。只今パスワードを解除しましたのでお知らせいたします。これからもよろしくお願いします。 (12月15日 22時) (
レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - とても好きな作品でいつも続きが気になっています。続きが気になって読みたいのですがパスワードを解除することはできないでしょうか？ (12月15日 17時) (レス) id: a8542e33a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます！拙文ではありますが楽しんでいただけると嬉しいです。 (11月21日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 自分の好きな漫画のクロスオーバー！！中々ない組み合わせなのでめちゃくちゃ嬉しいです！！ (11月7日 21時) (レス) @page16 id: bda3c5db2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司 | 作成日時：2023年10月14日 23時
