6. ページ7
はいはい、強行突破しようとしたわけね。
やるじゃんマフィア。
すっかり深夜テンションの私は脳内探偵ごっこを始めた。
れすとるーむはぷにんぐなぁ。言いたいことは分かるけど、
他に言い方あるんじゃないのかなぁ。本気で英語できない人??
というかなんで深夜なのにサングラス?
ハットもあんなに目深く被っちゃって。服に合ってなかったし。フフフ。
そもそもこのカタカナワード出てくるって、
日本人?もしかして。
日本人なら助けてあげたい、よね...
"hey, I'm so sorry that he made you disturbed. He is my friend and he wanted to use your restroom, but he cannot speak English at all. Could you please allow him today?"
(お邪魔して本当に申し訳ございません。彼は私の友人でして、御手洗いをお借りしたかったんですが、全く英語が話せなくて。今日のところは勘弁してやってくれませんか。)
とりあえず口から出まかせ。
思いついたセリフをつらつら並べてみた。
通じるかなこの店で、英語...
頭を下げたままじっと待っていた。
え、、、何か反応してよー、怖いじゃない。
こういう時間って体感長く感じるんだよね。仕事柄もう慣れっこだけどさ。。
ジャー...
そこに、
この空気に不似合いのなんだか腹立たしいほどのんきな音がする。
「はーすっきりした。って、何この状況??」
おい、マフィア、君も随分とのんきなもんだね。
ここが海外ってこと、忘れてませんかね。
「君も謝りなさい!ほら、頭下げて!!」
無理やり兄ちゃんの頭を動かして、そして
Thank you so much...Bye...
と一言残して彼の腕をつかんで早々に退散した。
とりあえず店の人は追ってこないし、なんとか誠意は伝わったかな。
てか何してんだ私。
無駄に正義のヒーローみたいなことしちゃって。
あ、私の場合、ヒロインか。
頭の中で自主突っ込みいれてニヤニヤしていると...
「あの、お姉さん、手...」
ガサガサ声の日本語が聞こえた。
あ、彼のことすっかり忘れてた。
慌てて腕をつかんだ手を放し、ニコっと微笑んだ。
あくまで営業スマイル。
54人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:greengrün | 作成日時:2019年5月19日 0時