4. 2side ページ5
「ニカ―、なにぼーっとしてんだよ、そろそろ帰るぞ。」
撮影終わって、
散々飲まされて、
気分変えようと思って外で一服。
他のメンバーはマッサージだとかのんびり過ごしたいとか言って
早々に退散していった。
昼間は半袖で過ごせるといっても
もう11月だ。さすがに夜は冷える。
ブルッと身体が震える。
「ミツ待てって、俺そろそろ限界かも...」
「なにが！？」
「なにって、、、トイレ...！」
「はぁ？？タクれば１０分だぞ、我慢しろ。もう開いてる店なんてねぇよ。」
ミツがわかりやすく呆れた顔してる。
人の目を考えたら、海外とは言ってもすぐ宿に戻った方が良いに決まってる。
そんなことわかってるって！
でももう我慢できないの！
絶対飲みすぎだ...ミツ酒豪すぎだって。
「俺もうダメだ、ちょっくら行ってくる！」
「おいニカ！おまえ英語喋れないだろ！はぐれたらどうすんだよ！」
ミツの制止も聞かず、俺は一目散に駆け出した。
限界が近いといっても走るくらいできる。
さすがにライブ中は我慢できなかったけどさ。
まだ明かりのついてるお店を探して、
closedの看板を無視して、それから...
こんなときなんて言ったらいいんだー！
あーこんなことならミツに聞いとくんだった。
いや、でも伝わればいいよな。いけるぞ俺なら！
「れすとるーむはぷにんぐ！！」
大声で叫びながらガラッとお店の扉を開ける。
あぁ、酔っ払って声枯れてるし俺...
でも、
後ろでクスッと笑い声が聞こえたのはこの際無視だ。
店員さんみんなポカーンと首をかしげているのも、なおさら無視だ。
だって俺は緊急なんだよ！！
迷惑を承知で店内のお手洗いマークを探して必死に指をさす。
Toiletって書いてあるけど、これトイレであってるよね？
なんでみんなそんな怪しげな目で俺を見てるんだよ...
あーわかった。
この漆黒のサングラスが原因か！ただのマフィアの殴りこみかと思われたか？
緊急なんだ、入ってもいいよな。
説明は後ですればいい。
誰が？
俺のボディランゲージだよもちろん。
それかミツが追い付いてきてくれれば
助けてくれるかもな。
そんなことを酔っ払いのわりには頭フル回転で考えて、
とりあえず俺は用を足すことに成功した。
間に合った。
ひとまずミッションクリアだ。
「He is ....」
安心しきった俺の耳に、
女の子の流暢な英語が聞こえてきた。
中国語じゃないんだな、こういうお店で使う言語も。
さすがグローバルな世界だ。
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作者名：greengrün | 作成日時：2019年5月19日 0時
