君とみたソライロ (ページ27)

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来た、LINE...どーしよ。

結局ひとしきり泣いた後、相手が相手だけに誰にも相談できず、ただ仕事に勤しむ毎日だった。
もうあれから日にちも経って、連絡が来ることはないだろうとほぼ諦めていた矢先のこと。

『まいこちゃん、連絡遅くなってごめんね。』

『あの時のお礼させて！』

『焼き鳥か焼肉かラーメンかおしゃれなレストラン、どれがいい！？』

『突然だけど、明後日の夜空いてる？はやくあがれそうなんだ！』

ニカのあの笑顔が浮かんでくるような文面。思わずぷっと吹き出した。
焼き鳥か焼肉かラーメンかおしゃれレストランって…

どんだけ焼き物好きなのよ。

『わざわざ連絡ありがとう。』

『うん、高級なフレンチがいいかなぁ。』

どんな反応をするのか気になって、ついついからかってしまうのは許してほしい。
二人で会えるのは、きっとこれが最後なんだから。

『フレンチだと、割り勘になりまーす！』

『あれ？お礼はどこ行っちゃったの？笑』

テンポよく続く会話。
もうニカも家に帰っているのかもしれない。

『明後日、安物の焼肉予約しておくね、』

あ、開き直った。焼肉が良いなんて一言も言ってないし。

『デザート付きでよろしくね。』

『考えておきまーす。』

『ありがとう。』

『まだ良いなんて言ってないし！』

スマホをベッド横のテーブルにおいて、充電コードをさす。

まだ会話は続きそうだったけど、終わらせ方がわからなかった。既に緊張してきてる自分がいて。

どんな顔して会ったら良いんだろう。

ただのファンとして？

まさか「あの時のあの中学生です！」なんて言える勇気もなくて。

「う、お腹痛い…」

こういう時は寝るに限る、と言い聞かせて、布団に入った。

『まいこちゃん？寝ちゃった？』

『おやすみ』

大好きな人からの初めての「おやすみ」は、

寝坊した翌日の真昼間に気が付くことになる。