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はぁー疲れたぁーーー
最後の気力を振り絞って部屋着に着替えて化粧を落としてからベットに飛び込む。
台湾出張がおわった。といっても最終日はただ単に観光を楽しんで美味しいものをたらふく奢ってもらっただけだから、体力的にはあまり消費していない。なにせ留学中暇さえあれば夜行バスなり飛行機を使って貧乏学生旅行をしていた私だ。2時間そこらのフライトではヘトヘトにはならない。
疲れたのは身体じゃない。心だ。
ニカにもう一度会いたい。
会いたくない。
…会いたい
やっぱりこの想いは誤魔化せないみたい。
ありがたい事に、来月5年ぶりの冬のライブに行けるチケットを手にしている。つい最近当落が発表されたばかりだ。生で会ったら、また気持ちは膨れていくんだろうな。
一方で、絶対お礼するから連絡待ってて!って全力の笑顔で私に告げたニカの声も忘れられない。また2人で会えるかもしれない。期待していないと言ったらそれは嘘になる。
ー−やっぱりまだ頭の整理が必要だ…もう寝よ… こんな時は思考の放棄が一番良い。
シャワーも諦めて私はそのまま眼を閉じた。
また夢を見ていた。
昨日よりもはるかに鮮明な夢…
地元近くの河原。
学校からチャリをかっ飛ばしてやって来る。
私は14歳。ぱっつん前髪。セーラー服に長めのスカート。ジャラジャラキーホルダーをつけたスクールバックにジャージの入ったトートバック。典型的な中学生だった。
その隣にいるのは、
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作者名:greengrün | 作成日時:2019年5月19日 0時